政府はすぐさま全国規模でGoToキャンペーンを停止すべき
菅首相は26日、新型コロナウイルスの感染者急増を受けて首相官邸で記者会見を行った際に「マスクの着用、手洗い、3密の回避となどに国民の協力をお願いしたい」と発言したものの、感染者急増の原因ともなっているだろう「GoToトラベル」について記者団の質問には一切答えず、一目散に会見場から逃げ去った。
このような状況で、国の指導者がマスク着用だとか、手洗いとか、3密回避などは国民に語り掛ける事柄ではないような気がする。
さらに驚いたことは、「GoToトラベル」見直しの一環として、政府は感染者急増の地域(札幌、大阪など)を目的地とした旅行は「GoToトラベル」の対象外とし、その地域から出発する旅行は対象外から外したことである。
これでは感染者増大が深刻な地域の人が、他の地域へ旅行する場合は今まで通りGoToトラベルの対象になるという、なんとも理解しがたい辻褄の合わない内容ではなかろうか。
もし特定地域をGoToトラベルの対象から外すのであれば、そこが目的地か出発地かでGoToの対象とか対象外とか区別するのはナンセンスである。
例えていえば、感染拡大中の札幌などへの旅行は禁止するが、札幌などから他の地域への旅行は良しとする、ということである。
こうなると、感染拡大地域の無症状の感染者が他の地域へ旅行して、感染者の少ないその地域へウイルスをまき散らす恐れがあることは十分考えられることである。
これでは感染拡大防止と逆行するのではないか。
新型コロナウイルス感染症対策分科会も「感染拡大地域からの出発分についても検討するよう」政府に提言している。
しなわち、感染拡大地位から他の地域へ旅行するのは今まで通りGoToトラベルの対象とすることに意義を申し立てたものである。
政府の言う、感染拡大地域へ旅行するのはダメだがその感染拡大地域の人が他の地域へ旅行するのは良い。
こんな道理に合わない、むしろ今まで感染者が少なかったその地域にまで感染者が増えてしまうかもしれないような見直しを政府は平気で行おうとしている。
なんとも想像力、危機管理能力を欠いた方策であることよ。
菅政権誕生前、菅官房長官は前安倍政権を継承するといったが、やっぱりこの人も安倍前首相と同じように都合の悪いことが起きるとそこから逃げ回るということも継承したのかと、あらためて落胆した。
今必要なことは、国が始めた「GoToトラベル事業」が感染拡大の原因として少しでも考えられる以上、新型コロナウイルス感染症対策分科会の尾身会長も提言しているように、国はすぐさま「GoToキャンペーン」を停止するべきである。
それは急激な感染拡大が起きている特定の地域だけにとどまらず、全国を対象とした停止を行うべきである。
さらに、地域によって医療崩壊が起きそうになっていることに対しても、国が先頭に立って医療施設の増設、重篤者の病床の確保、医療従事者の確保などについて医療崩壊にならないように国が具体的な方針を示すべきである。
政府は「GoToトラベル」で出発地をGoToの対象除外にすると経済が大変なことになる言っているが、今となっては経済最優先と言っている場合ではないことを関係者は悟ってもらいたい。
悲観論ばかり煽って・・と言われるのは百も承知。
しかし、取り返しのつかない事態になって慌てて強硬策をとっても遅いのである。
相手は性情不明な、目に見えない、そして容易に変質自在なウイルス。
その相手に対する完璧なワクチンも治療薬も今のところできていない。
新型コロナウイルス、もっと恐れるべきだと思う。
最近の新型コロナウイルスの急激な感染拡大に対して、菅首相をはじめとする関係閣僚の緊迫感の無い対応に歯ぎしりする思いである。