全豪オープンは東京五輪開催のモデルケースとなり得るか?
新型コロナのパンデミックの中で開催されたテニスの全豪オープンが日程のすべてを無事終えることができたことで、東京五輪開催のモデルケースになるかもしれないと言われているが果たしてどうだろうか?
(2021年2月22日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
まず、どのような状況の下で全豪オープンが開催されたかをみてみよう。
全豪オープンの選手・関係者はおよそ1200人、その感染予防対策として
1)大会側が手配したチャーター便で豪州入り
この際、搭乗前72時間以内の陰性証明が必要
(2021年2月22日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
2)入国後、2週間は完全隔離
隔離中は1日5時間の外出は許可制
(コートでの練習時間2時間を含む)
(2021年2月22日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
3)大会期間中は毎日検査(総検査数は3万件)
(2021年2月22日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
オーストラリアに到着後、関係者10人の感染が確認されたために同じ便に乗っていた錦織圭選手ら72人が部屋から一歩も出られない完全隔離下に置かれ、1日5時間の外出も禁止されたということもあった。
チャーター機に乗り合わせた錦織選手らは完全隔離された
(2021年2月22日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
選手・関係者に対するこのような厳しい措置は、観客にも実施された。
1)会場を3つのゾーンに分けて、指示されたゾーン
以外には移動できない。
(2021年2月22日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
さらに、入り口でQRコードを読み取り、名前と携帯番号を登録すること
(観客の行動範囲を制限するため)。
2) 観客は収容人員の25~30%とした
開催地のビクトリア州で感染者1名が見つかり、ロックダウンに入ったた
め、13日から17日までは無観客の試合となった。
1人の感染者が出たため、13~17日までロックダウンに入り、無観客となった
(2021年2月22日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
このような厳しい予防対策を行ったからこそ開催できた全豪オープン、そして大坂なおみの優勝だったのだ。
一方、東京五輪では感染予防のためにどのような対策が練られているのだろうか。
「プレイブック」に記載されたものを挙げると、参加選手1万1000人(見込み)に対して
1)72時間以内の陰性証明
2)健康アプリの登録
を義務付けているが、活動計画書を提出すれば待機期間中も活動できるとある。
そして外国選手に対してはワクチン接種を入国の条件にしないとある。
(いずれも 2021年2月22日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
そして大会期間中は
1)最低でも4日に1回、選手村で検査を受ける
2)ハグや身体的接触を避ける
3)食事は、選手村・試合会場・宿泊先のみ可 とある。
このプレイブックに記された感染対策に対し、全豪オープン大会責任者のグレイグ・タイリー氏は「機能するとは思えない。我々の方がはるかに厳しい対策を行った」と言っている。
(2021年2月22日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
全豪オープンの参加選手はおよそ1200人、一方東京五輪の参加選手はおよそ1万1000人(見込み)。
東京五輪は全豪オープンの約10倍とみられる参加選手なのに、上っ面な感染予防対策では悔いのない開催は全豪オープンの足元にも及ばないだろう。