政府が「緊急事態宣言」を解除したその大きな理由はこれしかない!

 政府は18日、4都県に発令されている緊急事態宣言を21日に解除するという。

 

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      世論調査では約57%が緊急事態宣言の延長を望んでいた

          (2021年3月15日 MBSテレビ「ひるおび」より)

 

 新型コロナの感染者数が下げ止まりとなっており、さらに変異ウイルスによる感染者が増えているのにも関わらず、政府が4都県(東京、神奈川、埼玉、千葉)の緊急事態宣言を急ぎ解除をするのは新型コロナ感染対策とは程遠い、おそらく次の理由によるものだろう。

 

 まず25日に控えている聖火リレーを緊急事態宣言が発令されたままで実施することには、内外のいろいろな誤解を招く恐れがあるかもしれないということを危惧したからであろう。

 

 聖火リレー福島県をスタートして、栃木県、群馬県、長野県へと、まるで現在緊急事態宣言が発令中の4都県を迂回するようにリレーされていく。
 もし25日以降も4都県に緊急事態宣言が発令されたままであれば、聖火リレーが非常にリスクのある感染地域を避けているのではないかと思われかねない。
 その誤解を解くためには4都県の緊急事態宣言を解除することも必要だと政府は考えたのではないか。

 

 しかし、聖火リレーが3月25日から7月23日まで続くことを考えると、この間に再び緊急事態宣言あるいはそれに即した宣言を聖火リレーのコースにあたる地域に発令せざるを得ない事態が決して起こらないとは言えないだろう。

 

 そのようなときに政府や組織委員会はどのような対応をするのであろうか。
 聖火リレーの中断か、あるいは以降の聖火リレーは中止にするのか。

 

 そしてもうひとつは、気候が良くなるこれからの季節において増える観光旅行や桜見物などにGoToキャンペーンを絡ませたい思惑があるのかもしれない。

 

 コロナ禍で落ち込んだ経済の活性化を図りたいという気持ちがわからなくもないが、今はそれを持ち出すステージではないということを政府の要人は知るべきであろう。

 

 下図は宮城県の1週間ごとの感染者数を表したものであるが、飲食店の営業時間短縮要請で減少した感染者が「GoToイート」を始めた直後から急増している。

 

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         (2021年3月18日 MBSテレビ「ひるおび」より)


 人の動きにつれて感染者が増えるということを如実に表しているのである。

 

 また2月末で緊急事態宣言が解除された大阪府では、変異ウイルスも含めた感染者数が増えてきている。
 そのため大阪府の吉村洋文知事は飲食店の営業時間の短縮について、22日以降も続ける方針を示した。

 

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          全国の変異ウイルス感染者は増え続けている

          (2021年3月16日 MBSテレビ「ゴゴスマ」より)

 

 緊急事態宣言が国民の間に緊張感を与え、感染防止対策を各自が自覚していた初期の間は外出自粛などにそれなりの効果が見られたが、いまや単なる掛け声に終わってしまって、いわば道路わきに立っている誰も目にしない「幟(のぼり)」に過ぎなくなっている。

 

 4都県に発令された緊急事態宣言の「幟」は、そこに書かれた趣旨に背く一部の国会議員の夜の銀座の飲食などによって、その効き目はますます薄れてしまった。

 

 たとえそういう効き目の薄れた「幟」であっても、その「幟」を聖火リレーやGoToキャンペーンのためだけに降ろしてしまうのはいかがなものか。
 効き目が薄れた「幟」は新しく取り換えるか、文面を違ったものに変えるべきであろう。

 

 「緊急事態宣言」というタガが外れたことにより、今までの自粛の反動も加わって国民の行動が大胆になり、変異ウイルスを含めた新型コロナの爆発的な大感染が起りはしないかを憂うのである。