この深刻な日本のコロナ禍を「さざ波」という無神経さ!
内閣官房参与の高橋洋一嘉悦大学教授が新型コロナ感染状況を外国と比較して「日本はこの程度の『さざ波』。これで五輪中止とかいうと笑笑」とツイッターに投稿したが、新型コロナウイルスによる感染増大で死者も重症者も増えている日本において、これほど人の命をあざけ笑うような考えを持つ者が権力のそばにいることが信じられない。
(2021年5月11日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
このことに対し、山口二郎法政大学教授は「人間の死に鈍感な者は権力、政策決定にかかわってはならない。死を防ぐことができなかったとしても、そのことに対する悔いと恥を持つ者が政治を行うべき」とツイッターに投稿している。
また、前川喜平元文部科学事務次官は「(高橋氏を)参考人で呼んで国会で真意を質すべきだ」と言っている。
(2021年5月11日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
米国のラジオ局「KFGO」は「政府の顧問が、五輪中止の呼びかけを笑い飛ばすツイートで国民の怒りを爆発させる」と報道した。
同局は「(高橋氏と菅首相が)つい最近も1週間前に会った」と〝関係〟を強調、「五輪の開催強行のために国民の生命を〝軽視〟する姿勢は、菅首相の考え方を反映したものだ」とも指摘している。
昨日の参院予算委員会では、高橋氏の「さざ波」ツイッター投稿について、野党から問われた菅首相は「個人の主張について答弁は控える」としか答えなかった。
(2021年5月11日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
最近の菅首相の答弁は野党が何を質問しても抽象的な一般論か、同じ言葉の繰り返しである。
「朝ご飯、食べましたか?」
「いや、食べてはいません。パンなら食べましたが・・」
いつもの「ご飯論法」。こんなことがまかり通る日本の国会答弁。
野党も質問時間が気になることもあるだろうが、とことん追求しないで結局「まぁまぁ」で終わってしまう。
真剣勝負を避けて波風立たない質問と答弁では本音が出てくるはずがない。
これこそ「political kabuki」つまり「芝居がかった政治」である。
私はこのような国会質疑答弁を「さざ波質問」そして「さざ波答弁」だと言いたい。
「さざ波」投稿に対し、このような批判がある
(いずれも 2021年5月11日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
国会という国の最高機関の場において、一国の首長であるところの責任ある答弁が聞かれないことにあきれてしまう。
このような国会中継を敢えて視聴する気にもならなくなっていくこの頃である。