アメリカ国務省の日本への「渡航中止勧告」は何を意味する?
アメリカ国務省と米疾病対策センター(CDC)は24日、新型コロナの感染拡大が治まらない日本を、最も厳しいレベル4の「渡航中止を勧告」する対象に追加した。
最高のレベル4に日本を加えた
(いずれも 2021年5月25日 MBSテレビ「ひるおび」より)
このことに関して、ブルームバーグ通信は「アメリカは東京五輪の開催に疑問を投げかけた」と報じた。
( 2021年5月25日 MBSテレビ「ひるおび」より)
外国の多くのメディアは、依然コロナ禍にある日本で二カ月後に開催されようとする東京五輪に対して以前から懐疑の目を向けている。
今回は日本が最も頼りとする(一部の政治家かもしれないが)アメリカから今夏の東京五輪開催に対してネガティブな声が上がったわけである。
米国務省の今回の判断はCDCの情報に基づいている
( 2021年5月25日 MBSテレビ「ひるおび」より)
今回の米国務省の日本への渡航中止の勧告について、次のような興味深い記事があった。
それは「この渡航中止の勧告は菅義偉首相の立場を察したバイデン大統領流の助け舟だと深読みできる」とする内容である(https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB00013_V20C21A5000000/)。
記事は「これで(菅首相は)『外圧』により『断腸の思いで五輪断念』を語れるからだ」とも述べている。
なるほどそういう見方もあるのか。
どんなにコロナ禍で日本が苦しもうと、そしてIOCのコーツ調整委員長が東京に緊急事態宣言が出ても東京五輪は開催すると明言したことを考えれば、日本政府や東京都、そして組織員会はいまさら「今夏の東京五輪は中止」とは口が裂けても言えない。
開催国がそれを表明する時期はとっくに過ぎているのである。
不謹慎だが、あとは天変地異によって東京五輪が開催ができないほどの被害に見舞われた場合だろう。
しかし、こんなことは考えたくもない。
コロナ禍にある日本で東京五輪を開催しても経済的な恩恵はほとんどなく、むしろその後の日本経済にマイナスのイメージを長く残すだろう。
また開催を中止したならば一時的な損失が生じるかもしれないが、その後の日本における各国のイメージは日本経済にプラスをもたらすということは十分考えられる。
時間は止まらない。
躊躇している間に取るべき手段はますます少なくなっていく。
未曽有のコロナ禍で苦しむ開催国でありながら「東京五輪」の成り行きを他力(他国)本願してしまう日本政府、東京都、組織委員会。
情けない。