新聞の使命に忠実だったワシントン・ポスト紙
昨日(3月22日)の夜、フジテレビで放映された「奇跡体験!アンビリーバーボー」の「国家を揺るがすスクープ アメリカ政府VS新聞社 実録」はなかなか見ごたえがあった。
それはベトナム戦争におけるアメリカの国家機密文書コピーをニューヨーク・タイムズ社が入手してスクープしたが、アメリカ政府はニューヨーク・タイムズ社に対して公表差し止め命令を裁判所に求めていた。そしてニューヨーク・タイムズ社には裁判所から公表差し止めの仮処分命令が出ていた。
その機密文書とは「ペンタゴン・ペーパーズ」と呼ばれる国家の最高機密文書だったのだ。
顧問弁護士や役員が掲載に反対する中、キャサリンは決断を迫られていた。
掲載すればニューヨーク・タイムズ社と同じように仮処分命令が出るかもしれない。そうなれば取り返しのつかない痛手を負う。
しかしキャサリンは社運を賭けた決断を早くしなければならなかった。
この日の「アンビリーバーボー」は、真実を報道すべきか、安泰な会社の存続を願うか、心が揺れ動くこの時のキャサリンの様子を描いたものであった。
それはワシントン・ポスト社を立て直した父そして夫らの遺志を継いだものだった。
その遺志とは
『新聞の第一の使命は、確かめうる限りの真実を伝えること、新聞が最も大切にしなければならないのは、読者、大衆の利益であり、オーナーの個人的な利益ではない』。
その後、相次いで多くの新聞社が「ペンタゴン・ペーパーズ」に関する記事を載せ始めた。
当時ベトナムは南ベトナムと北ベトナムに分断されていたが、北ベトナムが南北を統一する選挙を行おうとしていることに共産主義国家を嫌うアメリカが介入し、北ベトナムを爆撃するために多くの若いアメリカ兵をベトナムに送り込んだことなどについて記されていたのである。
ニューヨーク・タイムズはその機密文書をスクープし、続いてワシントン・ポスト紙などが追随したのだ。
こちらは機密文書でなく公文書だが、朝日新聞が3月2日に掲載した「決裁文書改ざん」の記事といくらか背景が似ていて、新聞は真実を伝えることの大切さを感じたこの日の「アンビリーバーボー」であった。
ただ、「公文書改ざん」を朝日新聞がスクープしたことで国会が紛糾しているときに、このような内容のものを「フジテレビ」が放映した意図があまりよく理解できないもやもやはあった。
何もそこまで考えなくてもよいか。