なぜ今、佐川氏退職金5000万円を公表?

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 佐川前国税庁長官の退職金が4999万円になると、財務省の矢野康治官房長は20日の参院財政金融委員会で説明した。
 
 なぜ今、退職金の話?と思う。
 たとえ野党の質問に答えたとしても腑に落ちない。

 矢野官房長は個人情報に関わることなので通常は公にしないと言いつつ、今回の特殊性を考慮したという説明も疑問だ。

 時期といい、弁解といい、何か違和感を覚える。

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 この異例ともいうべき佐川氏の退職金の公表は、今までの財務省の答弁態度からすると驚くものである。

 今までこの種の質問に対して財務省が答えることは「プライバシーに関わる」ということで答弁を拒否してきたからである。

 なぜ佐川氏の退職金については、こうも簡単に公表したのだろうか。

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 私は次の2つの理由を考えた。

 ① 証人喚問で政府に不利な証言をさせないため

 27日に佐川氏の国会証人喚問が決まったことで、政府はいくらかでも政府に有利な証言を佐川氏にしてもらいたいためではないか。

 そのためにまだ佐川氏に支払われていない退職金を利用した。

 退職金は退職してからひと月以内に支払わなければならないという規定がある。

 このこともこの時期にわざわざ退職金を公表した理由かもしれない。

 さらに、今後あらたに懲戒処分が下るようなことがあれば退職金は支払われないこともありうる、ということも財務省は明らかにしたのである。


 今後新たに懲戒処分が下されるようなこととは一体どういうことか。

 それは、国会の証人喚問で安倍政権に都合の良い証言をすれば退職金は支払うが、そうでないときはさらに減額、あるいは支払わないこともあるぞ、という佐川氏に対する一種の脅しをかけたのであろう。

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② 佐川氏に対する国民の印象を悪くするため
 
 4999万円から辞任時に懲戒処分を受けた減額金額66万円を引いても、それでも4933万円!

 民間会社に勤めるサラリーマンからすると高額な退職金を手にする佐川氏に対して羨望とともに印象を悪くする目的もあったのではないか。

 退職金額を公表することで、決裁文書の改ざんに関わって、いくら懲戒処分を受けたとしてもまだこんなに多額の退職金をもらうのか、という佐川氏に対する反感を国民の間に広げたいためであろう。

 そのためにはこのことを国民に知ってもらわねばならぬ

 場合によっては退職金は支払わないこともありうる、と財務省が直接佐川氏に伝えることは墓穴を掘ることになる。

 証人喚問を前にしてこのような行為は佐川氏に対する圧力と受け取られかねないからである。

 それならばたんたんと公表するほうが得策だと政府は判断したのではないか。

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すべては内閣人事局を保身のためだけに乱用したことから始まる
(2018年3月20日 MBSテレビ「Nスタ」より)

 異例ともいうべき今回の佐川氏の退職金の公表は、上記のような政府の意図があってのことだと私は思うのである。