米朝首脳会談は功を急いだトランプ大統領の完全な敗北


 史上初めての米朝首脳会談を成功させたというトランプ大統領ノーベル賞を狙い、金正恩委員長は体制保持を手に入れた会談だったかもしれない。

 トランプ氏が「史上初めて」ということを世界にアピールした壮大なショーは、日本にとって好ましかったものだったとは言い難い。

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非核化は2021年までに成果を出すというが・・・
(2018年6月14日 MBSテレビ「ひるおび」より)

 調印された合意文書には、非核化について具体的な策は盛られず、拉致問題は全く触れられていない。
 
 トランプ氏が会談後のインタビューで今回の会談を「一年後には間違いを犯したと言うかもしれない」と語るに至っては、この会談がいかに虚飾に満ちたものだったかを示すものである。

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えっ、あの(米朝)会談は「間違っていた」ですと!
(2018年6月14日 MBSテレビ「ひるおび」より)

 功を焦って国家間の会談で安易な合意を結ぶことは、結局は自国と世界の秩序を乱すことになるかもしれないのだ。

 報道によれば、北朝鮮から日朝会談開催について打診があったというが、おそらくそれは非核化を段階的に進めるにあたって、それに伴う経済的な支援に日本がどのくらい受け持つのか、という確認をしたいのであろう。

 経済的な支援の話であれば日朝会談の開催を否定するものではないという北朝鮮が、もし会談の席上で日本側が拉致問題を持ち出せば、「拉致問題は解決済み」と言うか、あるいは、拉致被害者数人を帰国させることと引き換えに、という条件を北朝鮮は出すかもしれない。

 経済支援と引き換えに拉致被害者を帰国させるという案は過去にも考えられた。

 しかし、今回は非核化を進める段階で、そのつど支援をするという形になりそうである。

 英投資顧問会社が試算したところによると、北朝鮮の非核化には向こう10年間で2兆ドル(約216兆円)が必要になる見込みだという。

 トランプ大統領は、非核化に伴う経済支援は日中韓で負担するべきだと言っている。そこに「拉致被害者の帰国」を加えれば日本の支援額は膨大なものになるだろう。
 
 安倍首相が拉致問題の解決をトランプ大統領に丸投げしたツケは莫大なものになるかもしれない。


 もし日朝首脳会談が実現可能となった場合、安倍首相は平壌に乗り込む勇気があるのだろうか。