今こそ石破氏が主張した「防災省」が必要なのではないか

 さる7月8日に石破茂・元幹事長が鳥取市の講演で、「復興庁を改組し、防災省を作っていかねばならない」と「防災省」の必要性を指摘した。

 それに対し、菅官房長官や閣僚から否定的な意見が出たことは覚えておられるだろう。

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2018年7月24日 読売テレビ「ten.」より

立て続けに起きた自然災害による影響

 今日(6日)午前3時過ぎに北海道で震度6強地震が起きた。

 つい先日の台風21号に引き続き、大きな被害が予想されるという。

 4日の台風21号による近畿の甚大な被害と考え合わせると、今までの国の防災対策は根本から手直しが必要かもしれない。

 西日本豪雨もさることながら、過日の台風20、21号や、今日深夜の北海道震度7地震による立て続けの被害は今後、日本の経済に深刻な影響を与えることが予想される。

インバウンド政策も影響を受けるだろう

 また関空が一時閉鎖になった時、取り残された外国人が「もう何時間も待っているがどんな状況なのか何の放送もない。早く母国に帰りたい、もう日本に来たくない」と言ったことが耳に残っている。

 このように自然災害と言えど、今回の災害によって日本に対する外国人観光客の評価が大きく変わるであろうことに気づいた政治家が何人いるだろうか。


 いくら自然が美しいから、日本人が優しいから、治安がいいからといっても、外国人観光客にとって日本はほかに数多くある観光国のひとつにすぎないのである。

 辛い思いをしたり、旅行の予定が狂ったり、最悪の場合は命の危険さえもあるかもしれない観光に喜んで来るはずがないだろう。

 何時、何処で起きるかわからぬ自然災害であるけれど、その対処次第では今後のインバウンド政策に大きな影響を与えることになるのではないかと思えるのである。

 日本が台風や地震など自然災害が多発する国であることは日本人はもとより多くの外国人が知っているだろう。

 しかし、知っていることと実際に災害に遭遇することとは雲泥の差がある。

 一時的に関西空港に閉じ込められたおよそ3000人(その後8000人と訂正あり)のうち、外国人旅行者はどのくらいいただろうか。

 その人たちが再び日本に行きたいと思うかどうか、それは災害後の日本の対応によると思う。

 そのような検証も含めて、あらためて政府にしっかりした組織、すなわち「防災省」のようなものを創設することが必要であろう。

自然災害の発生頻度は多くなっている

 今まで記憶に残る大きな自然災害は数十年に一度程度の頻度であったが、最近は2~3年に一度、今年になると西日本豪雨、台風20号、21号と立て続けの頻発さである。

 地球温暖化などによって、最近の気象は過去の経験がまったく役立たなくなったことは明らかである。

急ぎたい防災省の設置

 過去に見られないような自然災害の発生頻度に、石破氏が早い段階から現在の「復興庁」では追いつかない、もっと権限と機能を高めた「防災省」の設置を早い段階から強調したことは、石破氏の賢明な先見の明に基づくものであろう。

自然災害における指導者たる者の素質

 国の指導者たる者は、現在起きているいろいろな事象のその先では一体どのようなことが起きるかを予想することができる豊かな想像力というか、予知能力のようなものが必要であろう。

 これは自然災害に限らず、国内や世界の情勢に対しても同じである。

 そのためには今、政府として何をするべきか、それが指導者に求められる資質である。

災害関連委員会における安倍首相の発言内容について

 それにしてもこのような災害が起きるたびに、招集した会議の席上で、安倍首相がひと言言わずには気が済まないという態度で、気象庁が発表する内容と大差ないようなことを、おそらく役人が作文したであろう原稿に目を落としながら、勿体ぶったような言い方で話すのはどうにかならないものか。

 なにかもう一種のセレモニーのような雰囲気になってしまっている。

 いかにも、私こと安倍は今度の災害に対してこれだけ頑張ってやっていますよ、という総裁選挙を前にした安倍首相個人のパフォーマンスにしか見えないのである。

 もし安倍首相がどうしてもこのような会議で述べたいのなら、災害にどのように対処するのか、抽象的な一般論ではなく、もっと具体的な政策だけにしてもらいたいものだ。

 (お断り:その後の詳細把握により、9月7日に一部訂正しています)