「外国人労働者受け入れ拡大」法案の真の目的

 政府は2日に外国人労働者の受け入れ拡大に関する法案を閣議決定したが、この法案の真の目的は何か。

 10月22日の自民党法務部会では、外国人労働者の受け入れ拡大に青山繁晴参院議員が「外国人受け入れよりも日本人を雇用するのが先決だ」と発言したが全くその通りである。

 だからといって青山議員の国会における今までの発言のすべてに賛同するものではないが、こと今回の「外国人労働者の受け入れ拡大案」に対する青山氏の反応は日本人として当然なことだと思う。

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 政府はこの拡大案が必要な理由を「業界の人出不足を解消するため」としているが、本当にそうだろうか。

 さらに青山氏はテレビのインタビューで気になることをさらりと口にしたことがあった。

 それは「(外国人労働者の受け入れ拡大をすれば)収入が下がる」というような発言だった。

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 その発言は他のメディアに取り上げられることもなかったため再確認できなかったが、私は外国人労働者の受け入れ拡大をすればどのようなことが日本の企業に起きるか、青山氏は重要な点を突いたのではないかと思う。

 「外国人労働者の受け入れ拡大」が実施されれば治安とか風紀だとかいろいろな問題があろう。

 このような問題が表に出てくることは、政府にとって真の目的としていることに触れられずに済むので都合の良いことでもある。

 しかし青山氏はついその片鱗に触れてしまったのではないか。

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 私が思うに、低賃金でも働く外国人労働者が増えれば、そこで働く日本人労働者の賃金もそれに応じて下がるのではないか、ということを青山氏は懸念したのではないのか。

 それこそが一部の企業が今現在何よりも願っていることなのであろう。

 日本人労働者の賃金をどうにかして抑えたい、と。
 せめて外国人労働者並みに・・・。
 あわよくば今の労働環境も下げたい・・・。

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 あるラジオ番組でこの拡大案に対する視聴者のメールが紹介されていたが、その中に「息子が希望する職種の会社になかなか採用されず途方に暮れている。特に高い給料や高度な職種を求めているのでもないのに・・・。業界は人出不足というのになぜなのか」とあった。

 そして続けて「政府は外国人労働者拡大よりも就職できない日本人を助けるべきではないか」と親の悲痛な声で結ばれている。


 現在の業界が本当に人出不足であるなら売り手市場であるはずなのに、実際は希望の職種に就職できない若者が意外と多いのである。

 なぜなのか。

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 それは高い給与と快適な職場環境を要求する日本人よりも、劣悪な環境でも低賃金で仕事をしてくれる人材を企業が要求しているからである、と考えれば青山氏の言ったことと符合するのである。

 そのような人材はといえば、それは外国人労働者である。

 このような外国人労働者が日本の企業で一定の割合を占めれば、それはすなわち「低賃金で働かされる労働者の群れ」という新たなグループが日本の社会に出現するだろう。

 そして、最初は外国人労働者ばかりで構成されていたこのグループに、就職できなかった日本の若者が取り込まれて日本に新しい階層、すなわち「低賃金労働者層」を創る事に安倍政権は突っ走っているように思える。

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 もし今回のような「外国人労働者の受け入れ拡大」法案が安易に施行されようなことがあれば、政府が一部企業の要請に基づいて、日本にインドのカースト制のような「高給取りの指導者層」と「低賃金労働者層」を導入した諸悪の根源政権、と永代にわたって非難されよう。