なぜカジノ法案の成立を急いだ?

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 カジノ法案(カジノ解禁法案というべきか?)が12月15日未明に成立した。
 
 あれほど反対姿勢を見せていた民進党の中での対応が乱れて、その修正案を容認したことも腑に落ちない。
 
 民進党の中にもカジノ法案の成立を望んでいる議員が多くいると聞いている。

 民進党は、審議時間が短いとか、安易な手法で採決しようとしていると与党を批判していたが、それと裏腹にすんなりと委員会の採決に応じているのである。
 
 なんとも理解しがたい野党ではある。
 
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 一方で与党である自民党公明党の中にも少なからずこのカジノ法案成立に反対をしている議員がいるのも確かである。
 
 今では野党なのか、与党なのか、それとも「ゆ」党なのかわからぬ動きをしている日本維新の会カジノ法案に賛成の立場をとっている。
 
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 大阪湾の広大な人工島・夢洲(ゆめしま)にカジノを含む統合型リゾート(IR)を誘致して活用を図りたい日本維新の会代表の松井一郎大阪府知事は、以前からこのカジノ法案の成立に積極的である。
 
 大阪府はこの地に2025年の万博誘致を目指しているが、日本は2017年5月下旬まで正式に博覧会国際事務局(BIE,本部パリ)あて届け出る必要がある。
 
 それまでにカジノ法案の成立の道筋が示されれば大阪万博の具体的な構想が図られるということで、松井知事などがカジノ法案の早期成立を願って閣僚に日参したという。
 
 自民党政権としてはこの際、カジノ法案を早期に成立させて日本維新の会に恩を売っておきたいという気持ちがあるのだろう。
 
 それは自民党日本維新の会を完全な形で与党側に引きずり込む目論見だと私は思っている。
 
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 最近自民党公明党との間にいくつかの法案に対して少なからず意見の食い違いが見られるようになった。
 
 また東京都議会の自民党公明党の間にはすきま風が吹いているという.。
 カジノ法案の採決で公明党が採った方法は「自主投票」である。

 とはいっても政権与党の居心地の良さを公明党は忘れることができないだろうが、自主投票という状況はしばしば起きるかもしれない。
 
 
 自民党にとって、日本維新の会を与党に引きずり込むことは万が一のための保険であろう。
 
 日本維新の会の幹部も、十分そのことを承知した上での今回のカジノ法案成立だったといえるかもしれない。
 
 しかし日本維新の会の現在の国会議員数では公明党の肩代わりはできない。
 
 もし来年早々に衆議院が解散して日本維新の会の国会議員の当選者数が大きく変わればこの限りでないが・・・。

 それでは来年1月の衆院解散はあるのか、今日現在ではその公算は強いと私は見ている。
 
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 それを左右するのは今日の日露首脳会談の結果と、12月末の安倍首相のハワイ訪問時の状況次第である。
 

 12月5日、日露首脳会談の成果が芳しくないとみた政府はいきなり安倍首相の真珠湾慰霊訪問を発表した。
 
 もし日露首脳会談の結果が芳しくないものだったら、真珠湾訪問ということで日露首脳会談の失点をカバーしようとしているのではないか。
 

 それはこの2~3ヶ月の政府と安倍首相の言動を見ていればおおよそ見当がつく

 米国でトランプ氏の次期大統領が確実となったとたんにプーチン大統領が安倍首相からトランプ氏に顔を向け始めたのを知り、日露首脳会談が日本にとって無収穫な結果に終わるかもしれないと政府は危惧した。
 
 それは11月20日のペルーにおける安倍首相とプーチン大統領の会談によってますます確実なものになった。

 ペルーでのASEAN会議に出席する前の11月17日、安倍首相はトランプ次期大統領に会い、TPPについて再考するようお願いしたにもかかわらず、その舌の根も乾かない11月21日、トランプ氏はTPPを離脱することを明言した。

 安倍首相はメンツをつぶされた格好である。

 安倍首相のハワイ訪問の発表はその後の12月5日だった。
 

 最初一部のマスコミは「現職」の総理大臣としては初めての「真珠湾慰霊訪問」という触れ込みだったが、実は65年前に吉田首相がいた。
 
 この点でも安倍首相のハワイ訪問のニュースは精彩を欠くものとなった。
 
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 いずれにしても今回のカジノ法案成立の裏側は、賭博によって日本経済を牽引させるという、風が吹けば桶屋が儲かるような理由を喧伝しているが実態は単なる政党間の思惑が交錯して、あれよあれよと言っている間に成立してしまったように思えるのである。

 カジノ法案がプログラム法案だということは十分わかっている。
 
 実際に施行されるまでいくつかの段階を踏まねばならぬが、どんなに急いでも東京五輪には間に合わないという。
 
 明日、明後日のことではないとしても、今回のカジノ法案の成立は日本において現在では禁止されている「賭博」の解禁という最初の扉をこじ開けたということだけは確かである。
 
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 今でもギャンブル依存症の比率が高い日本の20年後あるいは30年後の状況を眺めたとき、カジノ法案成立に賛成した国会議員はどのような評価を下すだろう。

 しかし、それができるのは現国会議員の半分も居るかどうか、無責任である。