森友学園問題はまだ終わったわけではない
また籠池理事長は同日5時半過ぎの記者会見で理事長を退任する意向を示した。
前日(9日)には建設中の小学校でおこなった会見(一方的なものであったが)で開校に向けて熱弁をふるっていたのに、いったいどういう「風」が吹いたのか?
何か得体の知れない大きな力で圧力を受けたとしか考えられないほど、普通では到底考えられないほどの籠池氏の急変心である。
小学校設置認可申請取り下げによって4月開校は不可能となり、契約に従って国はこの用地を売却額と同じ価格で買い戻すことができる。
ただこの土地は森友学園が分割払いで購入しているので、今まで支払われた金額で国が買い戻すことになる。
その際、森友学園側は校舎を解体し、土地を更地にする必要がある。だが籠池氏は校舎をそのまま残したいと言っている。
しかし、事はそんなに簡単に運ばないのではないか。
もし国がこの土地を買い戻すことになった場合、ここに解決しなければならない大きな問題があるのである。
それはこの土地のおよそ9mの深さまで埋まっていたという汚染土壌や生活ごみなどの産業廃棄物を森友学園側が全部除去したのか、あるいは一部だけなのか、もしくはまだ敷地内にあるのかということだ。
小学校建設でダンプカー4000台分の産業廃棄物を運び出したという客観的な物証は今のところない。
掘り出したものを仮り置きと称して敷地内に埋め戻しているか、または全く手をつけていないか。
ごく一部の産業廃棄物は搬出された可能性はある。
残念ながらこれらの点はいまだ明確になっていない。
仮に森友学園が本当に「産業廃棄物はすべて敷地内から運び出した」のであれば土地の資産価値は高まる。だとすれば買い戻しをしようとする国は産業廃棄物の処理にかかった費用の一部を土地代金と合わせて森友学園側に払わねばならないだろう。
ここで疑問に思う方もいるかもしれない。
そういうことは契約書に書いているのだろうか。
そして単なる生活ゴミではなくて、汚染した土壌と産業廃棄物を処理したので処理費用が実際よりも高くなっている、と主張してきたらどうするのか。
その場合はディスカウントした額(およそ8億円)と相殺するのであろうか。
そのような場合も契約書に明記しているのだろうか。
これらのことをはっきりさせるためにも、今すぐにでも敷地内にそれらの産業廃棄物があるのかないのか、あればどのくらいの量が残っているのか、これを国ははっきりさせねばならない。
さらに、現在建設中の新設の小学校を解体せずに国に売却するようなことになれば、単なる更地よりも資産価値は高まるのだから、この建物の評価額に見合う金額を森友学園に支払う必要があるだろう。
真新しい建物をまたぶっ壊すということに疑問を唱える者も多いだろうからこういうケースも考慮する必要がある。
以上のようなことを考えると、国がこの土地を買い戻す額は森友学園に売却する前と全く同じ状態の土地を買い戻すのとは違って、高額になることが予想される。
籠池氏が小学校の設置認可申請を取り下げるに至ったのは、塚本幼稚園の園児の保護者らとの会合で入学時期や子供たちのことを考えて苦渋の決断だったというが、おそらくそれはとってつけた理由であろう。
そういうことは籠池氏がまっとうな教育者と自認するのであれば、はるか以前に気付くべきであった。
籠池氏の変心の原因は今はわからない。 が、もし今のうちに国が買い戻すことになればこうなりますが、と頭の黒いネズミから上記のような事を囁かれたのかもしれない。というのは私の勝手な想像である。
籠池氏はYouTubeの動画で「トカゲの尻尾切りは止めてほしい」と言った。
トカゲは自分で自分の尻尾を切れない。自分の尻尾を石にはさむか、扉にはさむか、はたまた誰かに鋭利な刃物で切られるか、当人の自業自得ということにしてここで「ジ・エンド」とするにはあまりに矛盾が多い。
「なぜそんなことまでして」という疑問があるかぎり、森友学園の疑惑は晴れないだろう。
10日夕の国内のニュースではおそらくこの「森友学園の小学校設置認可申請を取り下げ」がトップになると思っていたが、偶然がどうか知らぬが、籠池氏の記者会見しているちょうどその時間と、南スーダンのPKO部隊の撤退について発表する安倍首相のニュースがかぶり、その日の夕方のニュースはPKO撤退のことがトップになってしまった。