南スーダンPKO撤退発表の意図は?
本題の前に
これはその直前、同委員が答弁中の安倍首相を評して「目が泳いでいる」と発言したことに対して、同じ言葉を言い返したものである。
また答弁した安倍首相に対して野党の委員が「卑怯者」と発言したことで、与党の委員が委員長席に集まって懲罰委員会にかけようとする場面もあった。
さすがにこれは言いすぎたか、発言した野党委員はその発言を撤回した。
その気持ち、わからなくもない。
今国会は森友学園疑惑に大揺れで、野党は次から次へと新情報を取り上げて安倍政権を追及するし、それに対する安倍首相や閣僚、官僚たちの答弁は的を得ないものばかりで、こういう場面を見せつけられている私たちはストレスが溜まる。
じゃ、そんなもの見なきゃいいじゃないか、と言われそうだがそうもいかない。
自業自得か。
唐突な南スーダンPKOからの撤退発表
PKO撤退は今年5月末を予定しているという。
しかし、なぜこの時期にPKO撤退の発表か?
森友学園の疑惑が深まる中で行われた籠池理事長の記者会見が行われているTV中継の真っ最中に、政府がPKO撤退の発表をしたというのも何か奇異に感じられてならない。
安倍政権の行動パターン(1)~伊勢志摩サミットの場合
昨年5月に開催された伊勢志摩サミットの首脳宣言を発表する安倍首相は、世界経済は下方リスクが高まっており、各国が適時にすべての政策対応を行うと発表した。
ほかにもテロ、金融、地球温暖化などの議題もあったが扱いは小さかった。
同年6月4日、安倍首相は世界経済の下振れリスクに備えて、2017年4月に予定していた消費税10%への引き上げを2年半延期すると発表した。
伊勢志摩サミットで各国首脳は世界経済の下方リスクに対して安倍首相とはかなり温度差があったようである。
すなわち日本を除く各国首脳はもっとほかの問題、たとえばテロとか地球温暖化の問題のほうに重きを置いたように見える。
その証拠に日本を除く各国首脳は、伊勢志摩サミットの首脳宣言の内容に違和感を持っているようだという報告もあった。
安倍首相は、消費税10%への引き上げを延期したことを「アベノミクスの失敗」と言われないように、その責めを伊勢志摩サミットに負わせたのである。
安倍首相が参議院選挙を前にして、伊勢志摩サミットを利用したといわれるのはこのためである。
このことに寄与したのは消費税10%引き上げを延期したことによるところが大であろう。
誰しも個人消費に直結する消費税のアップは無いほうがいい。
年金生活者は年金の財源を考えると迷うところだが、アップした消費税が果たして年金に反映されるか疑問が残る。
そうなるとやはり消費税10%の延期は「良かった」ということになるのだろう。
またこの選挙から選挙権年齢が18歳以上となった若者が消費税の延期を歓迎するのは当然だろう。
いずれも安倍政権の支持率アップに消費税10%引き上げ延期は貢献したのである。
ただその選挙内容は必ずしも与党の圧勝というものではなかった。あくまでも一時的な現象である。
安倍政権の行動パターン(2)~日露首脳会談の場合
可能性の高いその時期は2016年11月末から2017年2月初め、というものであった。
そんな中、2016年12月15日に日露首脳会談が山口県で行われた。
この会談の前に米国では大統領にトランプ氏が選ばれ、プーチン大統領の食指は日本よりも米国に向いたために安倍首相の事前の思惑とは異なり、プーチン大統領との会談で北方4島における進展などはほとんどなかった。
安倍政権の行動パターン(3)~ハワイ真珠湾慰霊訪問
それならばと今度は真珠湾慰霊訪問を打ち出した。このことによって日露首脳会談の失点をカバーし、政権の支持率を高めたかったのだろう。
2016年12月28日(日本時間)ハワイ真珠湾を慰霊訪問した。
安倍政権の行動パターン(4)~今回の南スーダンPKO撤退の場合
安倍首相は、何か大きなことを行うその直前に、国民の気を引くイベントをやる傾向があるようだ。
なぜこの時期の発表なのか。
PKO撤退で国民の支持を得ようとしているのだろうか。
政府はPKOからの撤退は5月末を予定しているという。
いずれにしろこのままでは都議選でまた大敗するかもしれないという危機感から、安倍首相は都議選と衆院選を同時にやろうとしているのかもしれない。
森友学園問題で揺れ動く安倍政権の支持率が、いまだ50~51%(3月11~12日全国世論調査)で推移している状態が衆院選挙でも続けば、その流れは都議選に影響するかもしれない、という期待も自民党にはあるだろう。
以上は、南スーダンPKOからの撤退というニュースを耳にして不意に頭をよぎったことである。