被災者と被害者

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 私は前回投稿した文中で、東日本大震災の「被災者」をあえて「被害者」と記した。

 確かに多くのメディアは東日本大震災で肉親を亡くしたり被害を受けたりした人たちのことについて報じるとき、「被災者」と呼んでいる。

 政治家が語るときもそうである。

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 天災によって被害を受けた人たちを「被災者」と呼ぶのは正しいのかもしれない。

 それに「被災者」と「被害者」とでは法的な扱いに差があるのかもしれない。

 そうだとしても、東日本大震災から6年も経って、未だ元の生活に戻れない人たちについて「被災者」という言葉を使われると、天災だから誰にも責任が無いようなニュアンスを私は受けるのである。

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 大震災は天災かもしれないが、避難の遅れや原発事故のまずい対応などによって起きたことは人災によるところが大だと思う。

 震災や原発事故によって避難を余儀なくされた人たちに対するその後の国の対応をみると、とても十分だとは思えない。

 それは福島から他の地へ避難した避難者が謂れなき中傷を浴びせられている現状をみてもわかる。

 為政者は「被災者」と言う言葉を使って「天災だから被害に遭った人たちがある程度の不自由や不便、不快な思いをするのは仕方が無い。それでも国はこれだけのことをやっているんですよ」と言っているような気がする。

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 大震災に遭った人たちが未だに普通の生活に戻れない原因のひとつには、国の「天災だから仕方がないという意識」があるのではないだろうか。

 こういうことを考えると、これはもう国の不作為による「被害者」であろう、と私は思うのである。