安倍首相はなぜ稲田大臣を罷免にしなかったのか!

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辞任表明する稲田防衛大臣
(7月28日 MBSテレビ「ひるおび」より)

 稲田防衛大臣が28日に辞任を表明した。

 それに先立って、安倍首相は稲田大臣からの辞表を受理した。

 安倍首相の手厚い庇護の下で、今まで何度も急場をしのいできた稲田大臣も、防衛省自衛隊内部を散々かき乱したあげく、とうとうそこから逃げ出さざるを得なくなったようだ。

 しかし辞任するにしても、なぜもっと早くその決断ができなかったのか。

 その機会は今まで何度もあったはずだ。

 今年に入って日報問題が明るみになって、さらに都議会選挙の応援演説の失言があったときに安倍首相は稲田大臣を更迭すべきだった。

 安倍首相はそれさえも看過して、稲田大臣を必要以上に守り続けた結果がこのありさまである。

 そしてさらに言えることは、稲田大臣から辞表が提出されたときに安倍首相は辞表を受理せずに、稲田大臣を「罷免」すべきだったと思う。

 それが今回の騒動に対する安倍内閣けじめであろう。

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引責辞任する事務方トップの黒江氏と陸自トップの岡部氏
(7月28日 MBSテレビ「ひるおび」より)

 今回の陸上自衛隊日報の件で、事務方のトップおよび陸上自衛隊のトップらが引責辞任、停職や減給処分を受けるというのに、その大元の原因となった稲田氏に何のお咎めもないとはどういうことか。

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(7月21日 MBSテレビ「ひるおび」より)

 稲田大臣は陸自の最高幹部と会議を持ったというこの2月、最高幹部が陸自内に日報が保管されていることを非公表にしたいと発言し、そのとき稲田大臣は無言であったという。

 このことを「報告が無かった」と結論付けるのは無理があるのではないか。なぜなら私たちは否定するときは声をあげても、承諾の時には無言であることが多いからである。

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天橋立砂州は湾や入り江をほとんどふさぐのでこのような地形を保つ
この美しい風景と比べると政界の風景はなんと見苦しいことか

 来月初旬の内閣改造で稲田大臣は防衛大臣を外されることが濃厚になったが、そういう時期に辞表を提出して何の意味があるだろうか。

 民間会社で社員の重大な不祥事があったときに、その社員に対して会社が下す最も重いものは解雇である。

 解雇いわゆる「クビ」ともなれば退職金も出ない会社が多い。そのために解雇の通知が出される前に自主退職をする。そうすれば退職金を手にすることができるし、職務履歴書を「解雇」という文字で汚すことも無い。

 稲田大臣がこの時期に辞表を提出したのは、自身の経歴に傷を付けたくなかったのだ。

 もちろん安倍首相の心の中は、稲田大臣の経歴を汚すような処分を避けたかったので更迭も罷免もできなかった、というのが本音であろう。

 なぜだろうか。

 私はいつもこの点に疑問を持つのである。

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ちょうど5年半前、民主党政権防衛大臣に向かって稲田氏はこう吼えた
(7月24日 ABCテレビ 「Nキャスト」 より)

 ちょうど5年半前の民主党政権の時代、自民党が野党であったときに稲田氏が当時の防衛大臣を痛烈な言葉で批判していたまさにその言葉が、今度は稲田氏に向かって投げつけられているのである。