山尾氏は議員辞職をするべき!


 2014年に81歳でこの世を去った俳優の菅原文太は日本の政治家に対しては厳しい意見を持っていた。

 彼は「国会議員なんてくそくらえだ!」とよく口にしていたともいう。
 
 今、私の心境はこの言葉に近いものがある。

 久しぶりにブログを更新したが、その間に国会議員や地方議員に関するいろいろな不祥事が良く耳に入った。

 静かにしているといろんなことが聞こえてくるものである。
 
 そろそろブログの更新を、と考えていた矢先に元民進党山尾志桜里議員の不倫疑惑報道である。

 民進党山尾志桜里政調会長が週刊誌に不倫疑惑を報じられ、民進党を離党した。

 直前に山尾氏は議員辞職を検討していると報じられていたのに何のことはない、離党でお茶を濁しただけである。

 山尾氏に対して議員辞職を勧告しなかった民進党民進党である。

 与党を厳しく追及するはずの党が、ことわが身に関することに限っては党利党略を最優先するダブルスタンダードを活用している。

 マスコミは前原誠司代表が率いる民進党の行く末についてあれやこれや論じているが、そんな政党の行く末のことはどうでもいい。

 問題は、最近の日本の政治家は国会議員はおろか地方議会の議員に考えられない不祥事が多発していることである。

 言うまでもないが、国会議員や地方議員には高額の報酬として税金が充てられている。
 報酬だけでなく、いろんな名目で税金が使えるようになっている。

 その年間総額は私たちの想像をはるかに超えるものである。

 至れり尽くせりの処遇を受けておきながらな、なぜ国会議員や地方議員の不祥事が頻発するのか。

 もちろん議員だって人間だから休息も必要、癒しも必要であることを否定するつもりはない。

 しかし今回の山尾氏の不倫疑惑についても、東大卒で検察官も務めた経験があり、知性も理性も兼ね備えていると思われていた人間が、どう考えても不道徳だと思えるようなことを、同じような疑惑がほかの議員に持ち上がっていた時期にも関わらず、国会議員である山尾氏が何の躊躇もなく頻繁に相手と逢瀬を重ねていたことは私たち国民の理解の範疇をはるかに超えている。

 「保育園落ちた。日本死ね!」のブログを国会で取り上げて一躍その名を知らしめた山尾氏が不倫疑惑とは・・・。

 山尾氏が国会で取り上げたそのことをこのブログにも書いたが、今となってはその文を削除したい気持である。

 私が高校生のとき、こういうことがあった。

 化学クラブの部室で、来年には東大を受けるという先輩にどうしても理解できない化学式を教えてほしいと頼みこんだところ、その先輩は突然床にしゃがみこんで部室の木の床一面に黒板のチョークで化学式を書き始めたのである。

 先輩は説明しているつもりなのかブツブツ言いながら実験台がある場所を除いたおよそ8帖あまりの広さの床にぎっしりと化学式を書いてしまった。

 私はその化学式を理解するというより、先輩の突然の奇異な行動に驚いてしまって体が固まってしまった。

 それ以来、先輩の行動を観察していてわかったことがある。頭の良い人間であればあるほど一芸には非常に優れているが、それ以外の分野ではむしろ普通の人より劣るようである、と。

 先輩は翌年東大に一発で合格した。
 その後の消息は全く聞かない。

 私は、すべての東大卒者がそうであるとは言わない。

 しかしそのような傾向の人が存在することは確かなようである。

 あることには卓越した能力を発するが、それ以外には劣る点が多々ある、と思える人たちである。

 そういう人たちに必要なのは「精神、感覚、思考のバランス」を取ることであろうと思う。

 人によってはどうしても不得手があるだろう。その人物の利点は伸ばしてもいいが、ほかの面をおろそかにしないことである。

 東大卒で検察官も経験した山尾氏に言えることは、国会で他人を論破する術には長けているが、おのれの欲望をコントロールすることは不得手であった、ということだろう。

 先の記者会見で、今回の不倫疑惑についてあれやこれやと弁明したが、記者の質問を一切受けつけない態度ではとうてい説明責任を果たしたとは言えまい。

 国会において与党を追及するとき、山尾氏がよく口にした「説明責任」を山尾氏自身が果たすことなく、離党のみでこの件を終わらす魂胆なのか。

 さらに私が憤るのは、苦労して納めた私たちの税金が、100%純粋に議員活動のため働く議員に使われていればまだしも、それらの税金の一部が、こういう不倫のような個人の快楽のために間接的に使われているのではないかということである。

 日本の国会議員や地方議員の中には真面目な人も多くいるだろう。おそらくそういう人たちは汚れた政治の裏を知らず、物事を進めるにも困難を伴っていることだろうと思う。生真面目すぎて成果を出せない議員もいるかもしれない。

 それらの初々しい議員が、これが政治の世界、これが慣例、これがしきたりなどと先輩議員から吹き込まれて、次第に汚れていく姿が目に見えるようで唖然とするのである。

 この頃は国会などで口角泡を飛ばして、いわゆるやり手と思われる議員ほど、そして清廉潔白と胸を張る議員ほど、身体検査をすれば問題がありそうに思えてくる。

 今回の山尾氏の不倫疑惑は、あの国会で「日本死ね!」のブログを取り上げて政府を追及した雄姿とは真反対のイメージを植え付けてくれた。

 国会での追及が強烈であった分、今回の件で山尾氏に対する国民の落胆は並大抵のものではなかろう。

 それは所属していた民進党にも同じように、いやそれ以上に逆風が吹くだろう。

 それを知ってか知らずか、民進党の執行部は山尾氏の離党届を受理してしまった。

 このような場合、民進党は山尾氏に議員辞職を勧告するのが当然であろう。

 残念ながら、これでもって民進党はその将来を自身の手でむしり取ったといえよう。

 「あの人が!」という驚きをもって裏切られた代償は重いものである。

 山尾氏のこの不倫疑惑の件で橋下前大阪市長は、まず相手の妻と子供たちそして自分の夫と子らに山尾氏は謝罪すべきだと言っている。

 私はこれは順序が違うと思う。

 まず最初に謝罪すべき相手は国民だと思う。

 山尾氏は記者会見で民進党に対してさかんに謝罪をしていたが、ここでも一般常識から外れている。

 これは党に対する単なるパフォーマンスであって国民には何の関係もない。

 なぜなら内輪の者に対する謝罪は何も記者会見の席上で行う必要はないと思うからである。

 今回の件で、山尾氏のみならず、民進党そして国会議員、地方議員という肩書を持った者に対する私の不信はさらに増大したと言わざるを得ない。

 山尾氏は国会議員として、また政治家として明らかに適格性を欠くので、直ちに議員辞職をすべきであろう。