総理大臣の能動的衆院解散権は憲法に明記がない
安倍首相は早期の衆院解散に踏み切るという意向を固めたという。
冗談じゃない。
安倍首相が早期の衆院解散をする気になった理由は言うまでもない、着任早々の前原民進党代表を襲ったオウンゴールと、森友・加計疑惑に対する国民の関心が朝鮮半島の緊迫に向けられ、そして9月の世論調査で安倍内閣の支持率回復が見られたことにあるのだろう。
それを除けば、この時期に衆院解散を行う国民的メリットは全くないのである。
安倍首相は、北朝鮮の危機は長期化すると思われるので「衆院選を先送りしても、選挙中にミサイルが発射される可能性があるという状況は変わらない」と言うが、ならば北朝鮮のミサイルが日本本土に飛んでくる可能性は今も将来も全く同じか。そうではあるまい。目まぐるしく状況が変わり、北朝鮮の出方が読みづらい今の時期こそ政治空白は避けるべきであろう。
もし選挙期間中に日本領土にミサイルが撃ち込まれたらどうする。
そうすると今度は日本の領海にミサイルを撃ち込むかもしれない。
そんな可能性も考えられるときにわざわざ衆院解散ですか!
ミサイルが飛んできても、衆議院立候補者は街宣カーに乗ってマイクを手放さないで演説を続けるだろう。
役所は役所で選挙準備で大忙しだろう。
たとえ「Jアラート」が発信されても、どうせ今回も頭の上を飛び越していくだけ、と選挙ポスターの作成の手を緩めないだろう。
自党に有利だからと、こんな時期に衆院解散を唐突に言い出す安倍首相には権限乱用の感じさえ受ける。
本当に総理大臣は自分の好きな時に、任意の時期に議会を解散させることができる、いわゆる能動的な解散ができるのだろうか。
議会の能動的解散、実はこれは憲法に明記されていないのである。
このように、かなり無理な運用によって日本の歴代の首相が今まで衆院の能動的解散を行ってきたのである。
議会の能動的解散権は日本が手本としてきたイギリスやドイツに今はない。
2010年まではイギリス議会の解散は女王が首相の助言と承認によって行使してきた。
現在のドイツやイギリスでは内閣不信任を受けて議会を解散するわけで、首相が勝手に議会を解散することはできないのである。
その背景には、議会は審議をするために開かれる場であって、それ以外の目的で利用することを戒める意味合いがある。
議会開催初日の冒頭解散などもってのほかというわけである。
なぜなら
安倍首相がテレビ画面に現れるたびに
菅官房長官が記者会見するたびに
そのほか関係したであろう人物の顔を見るたびに