YouTubeには2つの「希望の党」のPR動画がある

 小池東京都知事が新党「希望の党」を結成したと発表した時、同時に紹介された同党の公式動画「希望の党」と同じ名の動画が、実は12年前にすでに作成されていたことをご存知の方もいるかもしれない。

 新党「希望の党」の動画は、薄暗い建物の廊下を歩いている緑色のスーツをまとった女性に対して、旧来の政治家が「組織なめんなよ」「変えられると困るんだよ」「歯向かう気か」などと、後ろから言葉を投げかける場面が流れる。

 緑色のスーツを着た女性は小池知事その人をイメージしたのであろうが、その延長上には「希望の党」は女性の政界進出を応援する党であることを知らしめる意図があるのかもしれない。

 そして最後の場面には「さらば、しがらみ政治」という大きな文字が表れる。

 小池知事がしきりに口にした「しがらみ政治からの決別」をそっくりそのまま映像にしたといえよう。

 一方もう一つの同名の動画「希望の党」は新党「希望の党」とは一切関係なく、05年に総務省と公益財団法人である「明るい選挙推進協会」が選挙の投票を推進するために製作したものである。

 「明るい選挙推進協会」が製作したPR動画「希望の党」は前編と後編に分かれており、政権を奪取した「希望の党」が「ファシズム国家」を目指してゆく様子を描いたもので、国政選挙の投票をおろそかにした結果がどうなるかを伝えている。

 この同名ではあるが意図するものが全く異なる「希望の党」という名の動画。

 新党「希望の党」が製作した動画と、「明るい選挙推進協会」が製作したものを一連のものだと、私はあやうく勘違いしてしまうところだった。

 「希望の党」の動画を見るときは、この2種類の同名の動画があることをくれぐれもお忘れなく。


 明るい選挙推進協会」が12年前に製作するときには同じ名の「希望の党」ができることは予想もしていなかっただろう。

 それどころか「希望の党」などという、あまりにも軽い名称の党が現れるはずがないと読んでいたのだろう。

 しかし実際に「希望の党」はできた。

 今その党がほかの野党を押しのけて、国民に対して一向に真摯な態度にならない自民党公明党の与党に反発した人たちの受け皿になろうとしているのだ。


 ここで私はふと思った。

 12年前に「明るい選挙推進協会」が製作した「希望の党」のPR動画。
 これを与党は小池知事が率いる「希望の党」の反キャンペーン用に使うのではないかと・・・?