西日本豪雨被害地の復興よりもカジノ法案を優先させた安倍政権

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言質をとられないため「やった」と言わない「つもり」なのだ!
(2018年7月17日 ABCテレビ「Nキャスト」より)

 外国のカジノ業者の意向を酌んだカジノ法案(カジノを含む統合型リゾート実施法案、以下「カジノ法案」)が20日の参院本会議で自民・公明と日本維新の会などの賛成多数によって可決・成立した。

 この法案成立によって、今まで違法だった賭博場つまり「カジノ」が、適用地域は限定されるものの合法的になるのである。

 政府はこのカジノ法案によって経済成長を期待するというが、ギャンブルによって国や地方の財政を豊かにするという、何の根拠もない貧弱な発想である。

 また政府は外国人観光客が今以上に増えると予想しているが、もしこの予想が当たってもこれらの観光客はカジノに吸い寄せられたギャンブラーであり、質の良い観光客ではないことを知るべきである。


ギャンブルは日本の文化・風土に合わない

 農耕民族である日本人は、狩猟民族の多いほかの国と違って、ふだんの生活で死ぬか生きるかという究極の場面に出会う経験が少ないからである。

 おだやかな性格の日本人が、何かの拍子でギャンブルで大金を失ったとき、我を忘れてしまい、歯止めが利かなくなる恐れがある。

 ギャンブル依存症は穏やかな性格を持つ農耕民族、とくに日本人に発症しやすいのである。


カジノ法案成立に加担した政党は日本の将来に責任を負わねばならない

 ギャンブル依存症対策をなおざりにしたまま、観光や地域経済の振興に貢献するという錦の御旗を掲げた自民・公明そして日本維新の会などは、日本の将来に大きな責任を負うことになった。

 日本ではかなり抵抗感のある「カジノ」に対する印象を、「統合型リゾート」といういかにも平和的でファミリー的な響きのある言葉を付加することによって、国民の反発をかわそうとした自民・公明与党の狡猾なやり方、そしてこの法案の恩恵にあずかろうとしている、いわゆる"ゆ党"の日本維新の会も堕ちたものだ。


大被害を出した西日本豪雨のどさくさにまぎれて法案を通す与党の狡猾さ

 2週間前に起きた西日本豪雨によって被害を受けた地域の具体的な救済対策を置き去りにして、さしたる必要性も緊急性もないカジノ法案の成立を急いだ安倍政権のいつもの政治手法には嫌悪感を覚える。

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この惨状を見れば西日本豪雨がいかにひどいものであったか分かるはず
(2018年7月17日 ABCテレビ「Nキャスト」より、抜粋)

 このことは今回のカジノ法案にかぎったことではない。

 18日の衆院本会議で成立した改正公職選挙法もそうである。

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衆院の倫理選挙特別委で公職選挙法改正案を強行採決
(2018年7月17日 ABCテレビ「Nキャスト」より)

 表向き「1票の格差」の是正と言っておきながらその抜本改革は先送りして、来夏の参院選自民党が有利になるような制度のどこが「票の格差の是正」か。


自民一強の下で公明党日本維新の会などが果たす役割は何だったのか?

 国会での数の有利を背にした自民党の傲慢な態度に引きずられている公明党も情けない。それほど大臣の椅子が欲しいのか、与党と言われたいのか。

 一時は自民党の暴走を止めるブレーキ役になるのかと思っていたらミイラ取りがミイラになってしまった。

 公明党の初心の理念はもうどこにも見られない。

 日本維新の会は2025年の大阪万博開催を念頭にこのカジノ法案を万博誘致地実現の追い風にするつもりで法案成立に賛成しているのだろうが、カジノ法案が成立しても大阪が万博誘致に成功するとは限らない。

 不確かなことを理由に問題のあるカジノ法案成立に賛成した日本維新の会はまんまと安倍首相の策略にはまったのである。

 さらに大阪が他の都市との競争を勝ち抜いて来年のG20開催都市に決まったということで、最初は3カ所ほどといわれる統合型リゾートの設置場所はもしかすると大阪以外の別の都市にしたいという政府の意向が表明されるかもしれないのだ。

 日本維新の会代表の松井大阪府知事は、このような状況の中で安倍政権を忖度すべく、与党が提出したどんな法案にも賛成せざるを得なくなってきているということを知るべきである。

 今や問題のある政党は自民党公明党日本維新の会だけでない。


土壇場でまとまらない情けない野党

 20日の衆院本会議では内閣不信任決議案について、立憲民主党の枝野代表が2時間43分間にわたる演説をして与党らに対する抵抗を示したが、こんな形で抵抗しても悲壮感が漂うだけである。

 ふだんは国民をタテにして立派なことを言う野党が、土壇場になると野党同士がいがみ合って、まとまらない状態になってしまったことにはあきれてしまう。

 先の党首討論で野党は安倍首相に対する質問をまとめられず、各野党がそれぞれの思惑で安倍首相に対してばらばらな質問をしたため、追及が甘いものになった。

 事前に野党が結束し、森友・加計問題などについて、具体的な質問事項を各党に割り振りして党首討論に望んだならば、もっと意味のある展開になったと思うが後の祭りである。


国会議員でないと何もできない、と泣き言を言うな!

 国民の意思が反映されていない法案が次から次へと簡単に成立する原因のひとつは、改革などと言いつつ、それでも国会議員の身分を失いたくなくて中途半端な行動しかできない野党にも大きな責任がある。

 日本という国とその国民を守るために持ち続けた自分の信念と異なる事に対しては、国会議員を辞してでもという、おのれの身を切る改革ができなければ、それは政権の不条理を正す真の野党議員ではない。


国会議員は公務員、したがって公僕である

 国会議員は、国から高額の歳費をもらい、安定した収入が得られ、倒産の恐れもない国会という職場で働く優遇された公務員といえよう(注:国会議員が国家公務員かどうかは種々の解釈がある)。

 であるならば国会議員は公僕である。

 サラリーマンではないのである。


成立した法案であってもすぐさま無効にできる仕組みを

 多くの国民の意思が反映されていないカジノ法案や改正公職選挙法などがいとも簡単に成立するのはなぜなのか。

 今回のように、十分な審議も無しに、ただ単に国会議員の数だけで日本の方向が簡単に決められてしまうのは将来とても危険に思われる。

 数の勢いにまかせて、もしかすると今後日本を破滅させるような法案が成立するかもしれない。

 そんな時、実施に至るまでのどこかの段階でその法案が無効になるような、そんな仕組みを作るべきではないか。


今、この日本において何事にも優先するものは何か、それがわからなければ国会議員を辞めろ!

 今この瞬間でも、西日本豪雨による被災者が猛暑の中で汗を流しながら今後の生活の目途も立たない中で、自宅などの後片付けをしていることを、カジノ法案の成立に賛成した国会議員はどれほどわかっているだろうか。

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カジノ審議の場であくびをする石井国交相
(2018年7月17日 ABCテレビ「Nキャスト」より)

 口先だけの国会議員ほど、痛みを分かちあう、苦しみを共有する、被災者とともにある、などの美辞麗句で飾った空疎な慰めの言葉ばかりを多用して、現地で何一つ汗を流したことがない。

 被災した住民らが言う。

 スコップの一本くらい持ってきて、
 1軒でもいいから(復旧作業)やってみろ!

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2018年7月17日 ABCテレビ「Nキャスト」より

 被災地のことはそっちのけで一心不乱にカジノ法案や改正公職選挙法の成立に邁進したあなた方。

 あなた方の歳費は、西日本豪雨で被災した人たちが払った税金も含まれているのだということを忘れてはいませんか。