異例な進路

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 各地に大きな被害をもたらしている台風12号のコースについて、どのメディアも「異例な進路」「迷走」「逆走」「西進」などと報じている。

 だいたい日本付近で東方から西方へ公然と移動する台風なんて今まで聞いたことがない。

 以前小笠原付近まで北上した小型の台風が、本土上陸か身構えていたら、直前にくるりと方向を西に変え、紀伊半島の沖の太平洋上まで進んでいくらか迷ったのち、再び北上したことがあった。

 これなどは台風の初心者だったらしく、少しばかり道を間違っただけのようで、今回のようにしっかりと「西進」した台風は私の記憶にない。

 あまりにも毅然とした西走ぶりに、まさか西方へ経典を求めていくわけではなかろうが、台風12号は九州の南方海上でしばらく停滞し、その後大陸へ進むとみられている。

 当然ながらこの12号台風は、先の大阪北部地震西日本豪雨で被害に遭われた人たちにとっては、この上なく招かれざる台風であったことは間違いない。

 どうか新たな被害が発生しないよう祈るばかりである。

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 さて、この「異例な進路」をとった台風12号は最近の日本の社会を揶揄しているのではあるまいか、とかなり斜(しゃ)に構えて考えてみた。

 最近新聞紙上を賑わしている政治家や官僚、大企業の経営者などが関与した事件や不祥事は、組織のトップとして守るべき常識や企業コンプライアンス、過去の経験や価値観から導き出された決まり事などを逸脱して、それこそ自分中心の「異例な進路」を取り続けたからではないだろうか。

 その結果、多くの人々が困惑し、迷惑を受け、そして国民も物心(ぶっしん)両面で損害を受けている。

 台風は自然現象だから進路をある程度予測できたとしても、人間がその進路の最終を定めることはできない。

 しかし、日本が台風12号のような「異例な進路」を取り続けないよう、舵を握る誠実な人間を私たちが選び直すことは可能なのである。