長期政権の「オレ様」化

 11日の朝日テレビ「おはよう朝日、土曜日です」で以下のような内容の放送があった。

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昭和時代を生き抜いた男は傲慢症候群!?
(2018年8月11日 ABCテレビ「おはよう朝日、土曜日です」より)

 今マスコミで話題沸騰の山根 明氏は、典型的な「傲慢症候群」であると番組ゲストの精神科医 片田珠美さんが語っていた。

 片田さんによると、山根氏のような「オレ、オレ」のタイプは2種類あるという。

 ひとつは麻生財務大臣のように大会社の裕福な環境で育ち、何でも許されるお坊ちゃん型で「他人への想像力の欠如」タイプ、別のタイプは山根氏のように苦労を乗り越えてトップにのぼりつめた人である。

 それでは安倍首相はどちらのタイプか。

 傲慢症候群は人格障害の一つで、権力の座に長くいると性格が変わることをいう。

 イギリスの精神科医が、当時のイギリスの首相が日ごとに傲慢になっていく様子を身近に見て提唱したという。

 片田さんは、山根氏の今までの種々の言動から傲慢症候群の傾向があるという。

 例えば、自分のことを「歴史に生まれた歴史の男」と言い(→自己愛)、「僕は世界からカリスマ山根と呼ばれてる男ですから」(→自己顕示欲)、「(奈良判定の証拠テープで)反対につけたらおまえなめとんか」(→他人を威嚇)などの言葉を挙げている。

 そして片田さんは、このような人物があなたの会社の上司にいませんか?と問いかけている。

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あなたの会社はどうですか?
(2018年8月11日 ABCテレビ「おはよう朝日、土曜日です」より)

 例えば、なにかにつけ部下を叱る「オレ様」支店長がいたとする。

 その「オレ様」支店長の下に集まるのはイエスマンばかりで、ほかの人は排除されて意欲の低下と組織の腐敗を招く、という。

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「オレ様」の周りにイエスマンが集まる
(2018年8月11日 ABCテレビ「おはよう朝日、土曜日です」より)

 まるでこれらは企業のことではなく、今の安倍政権のことを言っているように聞こえる。

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「オレ様」を改心させることは無理、長く権力の座に居座らせないこと
しかし、強引にルールを変えて居座る者もいる
(2018年8月11日 ABCテレビ「おはよう朝日、土曜日です」より)

 このような「オレ様」を改心させることは18歳を過ぎるとなかなかに変われないし無理だ、と片田さんは言う。

 「オレ様」を防ぐには、長く権力の座に居座らせないこと、これが一番らしい。

 アメリカでは大統領が2期、8年までしかできないのは腐敗を防ぐためであるという。

 一方、中国では国家主席の任期「2期10年まで」とした憲法の条文を削除したが、これにより習近平氏は2023年以降も国家主席にとどまることが可能になる。

 一方、日本ではどうか。

 自民党は昨年の党大会で総裁任期を「連続2期6年」から「連続3期9年」に延長する方針を正式決定した。

 もし安倍首相がこの9月の総裁選で3選されれば、2021年9月までの在任が可能になる。

 自民党の総裁任期を最初は「連続2期6年」という設定をしていたのはなぜか、それは上に述べたように組織のトップが「傲慢症候群」に陥る事、つまり「オレ様」化を防ぎ、組織の腐敗を防ぐためであったのだということを、任期の延長の採決の際にどれほどの自民党員が知っていただろうか。

 長期政権ということは名誉を表すものでも有能さを表すものでもない、その数字は組織が腐敗しやすくなっていることを示すバロメータなのだということを知るべきだ。

 このような意味を深く考えることなく、安易に「連続3期9年」に延長したことは党史に残る誤った選択だったと言わざるを得ない。

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8月10日 石破氏が総裁選出馬表明
先出しが有利か、後出しが有利か
(2018年8月10日 読売テレビ「ten」より 部分)

 9月の総裁選で、自民党総裁の「オレ様」化を防ぎ、かつ政権の「オレ様」化を防ぐにはただ一つ、自民党の新しい顔を選ぶしか道はないことは必然の理である。