被災地視察に名を借りた小賢しい安倍首相の選挙活動

 9日午前、安倍首相が震度7に見舞われた北海道の被災地を視察した。

 視察先は液状化現象が起きた札幌市内で、もっと被害の大きかった厚真町などではない(その後の情報で午後には厚真町に向かうらしい)。

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 液状化現象が起きた札幌市清田区を視察する安倍首相(午前11時頃
(2018年9月9日 ABCテレビより)

 停電していた電力がほぼ復旧したとはいえ、それは綱渡りで完全ではなく、厚真町などの被災地ではまだ行方不明者の捜索が行われているというときに、なぜ安倍首相は視察と称して「日程の詰まった中(官邸の表現)」わざわざ被災地に行くのか。

 被災直後の視察などというものは、被災地に負担をかけるばかりで被災地にほとんどメリットはないはずだ。

 被災地がある程度落ち着き、復旧の目途がついてから視察を行っても決して遅くはないのではないか。

 では安倍首相がなぜこの時期に視察をしたのか。

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 自民党総裁選投開票日の20日を前にして起きた「平成30年北海道胆振東部地震」により、自民党は6日の緊急役員会で総裁選の活動自粛を9日まで行うことを決めた。

 本来は8,9両日に街頭演説や候補者討論会が予定されていたのである。

 このことで総裁選における安倍首相の対立候補である石破茂元幹事長は、投開票日も延期すべきと求めていたがそれは実現しなかった。

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 総裁選活動の自粛期間である9日に安倍首相がわざわざ被災直後の混乱した現地に出向くというのは、視察に名を借りた選挙活動であることは間違いない。

 視察に行けば、被災地に少なからず自分の姿を見せつけることができるのみならず、テレビや新聞でも報道される。

 一方の石破氏は選挙活動自粛の申し合わせで動けない。

 安倍首相は、総理大臣という名を使って自民党総裁選の選挙活動をしているのである。

 そういうことを計算した安倍首相の小賢しい行動である。

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 安倍首相はロシア・ウラジオストクでの「東方経済フォーラム」に出席するため、10~13日に訪露してプーチン大統領とも会談するという。

 この訪露予定に対しては「平成30年北海道胆振東部地震」が起きようとも、いささかの影響も与えなかったらしい。

 このように安倍首相は多忙であることを国民に見せつけ、自身が最も苦手とする総裁選の共同会見や公開討論を先送りにする理由にしているようにも見えるのである。