自民党総裁選討論会(14日 日本記者クラブ)から思うこと
(2018年9月14日 「朝日新聞デジタル」より)
討論会は第一部と第二部に分かれ、第一部では安倍首相と石破・元幹事長が、相手に対して互いに質問をぶつけ合い、第二部では記者からの質問を受けるという形で始まった。
第一部における両者の主張は、さる10日に自民党本部で行われた演説会の内容と大きな違いはなかった。
私が注目したのは第二部の記者から両氏に対する質問だった。
案の定、モリカケ問題で政府が国民の信頼を無くしたのは国会における安倍首相の対応だったのではないか、との質問があった。
これに対する安倍首相の発言は、国会で行ったものと全く同じで「(森友問題においては私は)一点の曇りもない」という木で鼻をくくったものであった。
今日の事も含め、今までの安倍首相のまるで判を押したような内容の国会答弁や記者会見をみると、ひょっとすると安倍政権は国民に絶対に知られてはいけない極めて重要なことを隠しているのではないか、と疑いたくなる心境になる。
やはり安倍首相の鬼門はこのモリカケ問題だなと思ったものだ。
だからこそ、石破氏は「正直、公正」というキャッチフレーズを掲げて安倍首相との大きな違いをアピールしたのだろう。
憲法改正や経済、防災についても記者から質問があったが、両者の間に大きな違いは見られない。
ただその手順・手法については、安倍首相はあくまでも政府がリードを取るべきだと言い、石破氏は国民に向かっての姿勢が必要だとの立場だった。
ここで気になったことは、質問を受けた安倍首相が全く関係のない話を制限時間ぎりぎりまですることであった。
途中で質問した記者が質問したことと違うとクレームを入れようとすると、安倍首相はそれを遮り、その相手に対し「今は私が話している!」と居丈高に言うこともあった。
ここでも「オレ様」か!と思ったものだ。
また質問したある記者に対しては安倍首相は「あなたは知らないだろうけど・・・」とまるでその記者を小バカにしたような発言があったのも記憶に残る。
安倍首相が質問の意図をはぐらかし、判りきったことをだらだらと話すようでは到底納得できるはずがない。
安倍首相:「平成のその先へ」 石破・元幹事長「着々寸進、洋々万里」
討論に先立って両者がしたためた
(2018年9月14日 「朝日新聞デジタル」より)
自民党総裁選ではあるけれど、それは日本の首相を決めることでもあることを考えれば、全く無関心というわけにもいくまい。
なぜなら総選挙で勝った政党のリーダが総裁だからということでもあるようだ。
ただそこには長期政権における弊害については何も記されていない。
しかし、自民党総裁=首相というしくみを考えると、今や自民党そのものが大きく変質してしまったのに、そのままそのリーダーが一国の首相を続けることがふさわしいのかどうか、今一度国民の審判を仰ぐ必要があるのではないか。
このようなことを考えると、日本には大統領制の仕組みが必要になってきたのではないかと思うのである。
(注:写真の色紙「着々寸進、洋々万里」の意味
「着実に一歩一歩事を成せば、万里の海の彼方にも到達できる」ということ)