アベノミクスに忖度した厚労省の統計不正データー
2019年という新しい年を迎えても、国内では次から次へと信じられないようなことが明るみに出て心休まる日がない。
厚生労働省の毎月勤労統計調査が過去15年間、不正な方法で行われていたというのはその最たるものである。
このことによってこの間の雇用保険や労災保険などの給付額が低く算定されていた、というのも許し難いものであるが、厚労省ではその算出方法を2018年からの調査では従来の正しい方法に近づけるべく、こっそりと変更していたというのである。
そして厚労省はこの事実を伏せておき、昨年1月からのデーターには補正をかけて発表していた。
さらに、この期間の正確な修正は過去の一部のデーターを紛失したり破棄をしたために不可能だという。
あきれてものが言えない。
この厚労省の不正な調査が発覚したきっかけは、昨年12月13日の会議において、同年6月の現金給与総額の伸び率が異常に高くなっていることを統計委員会の委員長が指摘したことである。
2018年の伸び率が異常に高い
(2019年1月21日 MBSテレビ「ひるおび」より)
2018年の現金給与総額の前年同月比を見てみると、確かに毎月の伸び率が極端に振れている。
そういえば2018年6月の現金給与総額の伸び率は「21年5か月ぶりの高い伸び率」という見出しが御用新聞などに大きく踊っていたことを覚えている。
このような伸び率の変動は調査企業によほど大きな変動がない限り見られることはないはずなのに、そのようなことは聞いたことがない。
厚労省の補正の方法にも問題がある。
それは、2017年の毎月勤労統計の不正な調査(東京都で1/3の抽出調査)で算出された数字はそのままにしておいて、2018年の数値を単に3倍に補正したものと比較したことである。
抽出した数字をただ単に3倍すると実際より高く数字が出る
(2019年1月21日 MBSテレビ「ひるおび」より)
凡人でもこのことは分かる。ましてや厚労省の統計に携わる者がこのことがわからぬはずがあるまい。
今回の件で過日、厚労省の特別監査委員会がその調査結果を発表したが、「誰が」「いつ」「どのような理由」でという根幹の疑問に触れた内容とは程遠いものであった。
第三者が行ったとは言い難い形だけの調査結果では、これからの国の統計データーにますます不信を抱かざるを得なくなろう。