恥ずかしい国会


政府答弁は「ご飯論法

 31日の参院衆院で行われた代表質問で野党の質問に対する安倍首相ら政府の答弁を聞いたが、それは依然として「ご飯論法」だった。

 「ご飯論法」とは質問の意図をわざとはぐらかして言い逃れや論点のすり替えをすることを意味する。

 「ご飯食べた?」
 「まだ食べてないよ]
 「本当に食べてないの?」  
 「本当だよ、パンなら食べたけど」

 野党の質問に一般論や常識論を長々と並べ立てて、肝心の質問に答えようとしない安倍首相や閣僚らに「またか」という思いがする。


代表質問者にも一言

 政府の答弁だけでなく、与党や一部の野党の質問者にも苦情を述べたい。

 まず与党(プレ与党を含む)である。

 政府の提灯持ちのような演説に終始するのは止めてもらいたい。

 さらに、自分の党がいかに貢献してきたかという自画自賛の演説はもう聞き飽きた。

 この日の日本維新の会の馬場幹事長は、是々非々という姿勢を貫いているというつもりだろうが、政府の政策をおだてあげたうえに、ほかの野党を「無責任野党」と批判し、アベノミクス厚労省の統計不正は切り離して評価すべきだと述べた。


厚労省の統計不正が結果的に安倍政権を忖度

 私は「アベノミクス」は「安倍のミス」と以前記した

 なぜなら「アベノミクス」は日本の景気回復に少しも貢献していないばかりか、むしろこの政策は「(大企業、富裕層の)富の先取り、(国民に対する)ツケの先送り」だからである。

 毎年、国が多額の借金をしながらも国民の多くが景気の回復を実感していないそもそもの原因は、アベノミクスは一部の大企業や裕福な階層だけに富が流れる構造になっているからである。

 安倍政権はこのような疑いを国民に持たれないようアベノミクスの成果を裏付ける客観的な証拠が必要だった。

 そのために安倍政権は不正調査で問題となっている厚生労働省の毎月勤労統計のデータなどを利用した。


2018年の実質賃金の本当の伸び率はマイナス

 1月31日の東京新聞(Tokyo Web)によれば、厚労省の不正調査をうけて専門家が2018年の実質賃金の伸び率を実態に近づけて試算したところ、プラスはわずか6月の一か月だけだったという。
 
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2019年1月31日 東京新聞(TOKYO Web)より

 当時厚生労働省が公表していたプラスの伸び率は5ヵ月あったのに、だ。

 そして実際の2018年の実質賃金伸び率は「ほとんどマイナス」になる可能性があるのだ。

 このことは厚労省も認めている。

 代表質問で野党から、実質賃金の伸び率の参考値を改めて公表するかを問われた際に厚労省は「まだ検討が必要」と述べ、安倍首相は「担当省庁で検討を行っている」と答えただけだった。


なぜアベノミクスに都合よく省庁は不正したりミスするのか

 このように今回の不正統計やその後の特別監察委のずさんな調査をみると、ただ単に厚労省だけの問題だけでなく、出てきた統計データーについて安倍政権がその信頼性を疑う事案があることを事前に把握してもアベノミクスを進めるうえで都合の良いものは率先して利用したという確信犯的においがするのである。

 このことは昨年の国会で労働時間のずさんな調査結果が提出されたことでも同様である。

 一体どれほど国民と国会をなめているのか。

 この国会に提出される統計などの数字が本当に信用できるのか、まずそのことから取り掛からねばならぬとはなんと恥ずかしい国会である事よ。