明石市長の暴言の真意は?


 兵庫県明石市泉房穂市長が市の用地買収が遅れていることに激怒して、担当の幹部に「火をつけてこい」などと暴言を吐いたことに対し、批判的な苦情の電話が市に殺到したという。

 泉市長は福祉行政に関して敏腕を払い、市民の間では正義漢としても知られていたが、今回の事を知った市民からは「裏切られた」「心外だ」という声も聞かれたという。

 暴言が明らかになってから市には2日間で1200件以上の意見が寄せられたが、その6割(762件)が批判的な内容だったという。

 一方で4割(432件)は今回の市長の行動を擁護するものだったという。

 最初にこの暴言のことを知った時は「なんという市長だろう」と思った。

 その後、泉市長は謝罪会見を行い、この暴言について全面的に謝罪した。

 この謝罪会見が言い訳などを連発するような見苦しい場では無かったことは明石市民にとっては救いであったろう。

 変な言い訳をせず、潔く非を認めた謝罪会見だったからである。

 7年間も用地買収が進まなかったことに泉市長の怒りが爆発したこと、そしてこの暴言が1年半前に起きたこと、明石市長選がこの4月に始まることなどの事実を知るにつれて、この時期に暴言が明らかにされたことに裏がありそうな気もしてきた。

 そして、泉市長が暴言を吐いたことに対する怒りの矛先が徐々に市長から担当幹部らに向けられていくのを感じたのである。

 もちろん、その7年の間に泉市長が用地買収に関して何をしていたのか、同罪だ、という批判があるのは知っている。

 今回の件でインタビューに応じた明石市民がこう語っていた。
 「このことで明石市が変な目で見られるのが怖いですね」。

 泉市長の暴言は担当幹部だけでなく、ひょっとしたら己に向けて発したものであったかもしれない、と私は思うのである。