ハンセン病家族訴訟で国に賠償を求めた熊本地裁の判決で安倍首相は控訴を「断念する」と表明したが、なぜそれを「異例の判断」と言うのか。
「当然のこと」なのではないのか。
確かに、当時のハンセン病患者に対して世間に偏った考え方があったことは否定しないし、現在と比べてハンセン病における医学的研究が未熟であったことは否めない。
このことをもって当時の国に責任はない、という意見を持つ人もいる。
またハンセン病患者本人ならともかく、家族にまで範囲を広げて国がその責任を取らされることに反発する政治家もいるようだ。
それを言うのであれば、先の第二次世界大戦で多くの若者を戦地に駆り立て死亡させた当時の国にも責任はないことになる。
当時の日本は国民の隅々まで富国強兵思想に染まっており、それによって日本は戦争へと突き進むことになった。
たとえ国民が自発的に戦地に赴いたとしても、それを思想によって仕向けた国・政治家の責任は免れないのである。
参院選を目前に控えてハンセン病家族訴訟判決で「控訴せず」とした安倍首相は、参院選後はおそらく「異例」ではなく、それまでと「同じ」判断をするのだろう。