特措法の改正は安倍政権に乱用される恐れ
今すぐにでも対応できる2013年施行の「新型インフルエンザ等対策特別措置法」(以降、特措法)はそのまますぐに使えるのに安倍首相はなぜ改正しようとするのか。
措置法の改正に対しては各野党で態度が異なった
(2020年3月5日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
もし改正するとなると、与野党間の審議などで施行は早くて1週間以上も先になる。
昨日の国会で立憲の福山議員は「さる2月18日、厚労省は実施要項を改定して、新型インフルエンザの言葉に『等』」を付けている」と指摘した。
(2020年3月5日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
「等」を付けたことによって対象となる範囲は広がり、今回の新型コロナウイルスにも適用できるはずだ。
おそらく厚労省もそのことを意識して「等」を付加したのであると思われるが、安倍首相の横やりが入って、「新型コロナウイルスは未知の感染症ではないので現行の措置法は使えない」という苦し紛れの理由を作ったのであろう。
新型コロナウイルスは未知の感染症ではない?
名前があれば未知ではない?
いまだ正体のわからないウイルスだからこそ、ワクチンもなく治療法も確立していないのではないか。
このようにすぐにも対応できる特措法は使わず、あくまでも改正に安倍首相がこだわるのはなぜか。
識者はこう見ている。
「"後手後手"批判を払拭するため
総理主導で進んでいるとアピールしたい」
改正でリーダーシップをとりたいのが見え見え
(2020年3月5日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
おそらく安倍首相は改正する法に自らの権限を強める条文を入れようとしているのだろう。
今までの国会答弁や森友・加計問題、あるいは桜を見る会などであらわになったこの人の総理大臣としての資質と人格を思えば、これ以上の権限を与えてはならないと思う。
昨日の朝は日本国内の新型コロナウイルスの感染者は1000人だったが、その日のうちに1,034人となった。
日本に対する入国・入域制限をしている国・地域は昨日段階で22となった。
ひと月前は中国に対して行われたことが今は日本に対して行われている。
日本に対して行われる各国・地域における入国・行動制限
(2020年3月5日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
国は水際作戦で大きな失敗を犯した。
それを反省する弁もなく、次から次へと権力を振り回して己の言うがままの閣僚や官僚を周囲に侍(はべらせ)た。
その中には、今までの安倍首相の進め方に疑問を持った者もいただろうが、長期政権はそれを封じてしまう「物言わぬ」雰囲気に変えてしまった。
それを安倍首相は「リーダーシップ」と言う。
しかし、新型コロナウイルスに対しては権力も脅しも効かぬ。
ましてや新型コロナウイルスは忖度もしないし、お世辞も言わない。
インドでは日本をはじめ4ヶ国のビザを無効にした
(2020年3月5日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)
今回の危機管理における安倍政権の真価がどのようなものか、多くの国民が知ったことだろう。