菅首相は「日本イエスマン学術会議」にしたいのだ!

 日本学術会議の推薦候補6名を菅義偉首相が任命拒否したことは、菅首相がさほど恵まれなかった環境を生き抜き、人知れぬ苦労に耐えて今の地位まで上りつめたという「苦労人」の美談を台無しにしてしまった。

 

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         任命拒否は史上初めて!(下記:*注参照)

 

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     日本学術会議は独立性の高い組織でなければならない!

     (いずれも2020年10月2日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 学術会議から推薦された6名を任命拒否した菅首相は「適切に対応した」と言うだけである。

 「たたき上げの苦労人」というイメージからかけ離れた対応である。

 

 「素裸」の菅義偉を見た国民はいるのだろうか?
 誤解してはいけない、ここで言う「素裸」とは「その人の奥深く潜んでいる本心」を指す。

 

 どんなに善良ぶっても、その人の一挙手一投足に本心がちらりと見えることがある。

 今回の任命拒否は菅首相の本心をハッキリと国民の前に露呈したといえよう。

 

 日本学術会議は人文・社会科学、自然科学全分野の科学者の意見をまとめて内外に発信する日本の代表機関である。
 その条文には「政府から独立して職務を行う」とはっきり謳われている。

 

 日本学術会議が設立されて今まで委員の任命が拒否されたことは一度も無いという(追記:下記*注参照)。

*注(その後の情報によれば、2016年の補充人の際に官邸が難色を示して補充されなかったことがある、ということが関係者への取材でわかった)。

 

 今回、何らの明確な理由も示さず、法解釈で総理大臣の任命拒否が可能であるとする政府の答弁は受け入れがたい。

 

 任命されなかった学者の意見を聞くと、政府に対して厳しい意見を持つ者がいることもわかった。

 

 そういえばこういうことがあった。

 

 「ふるさと納税」で反対の意見を持った官僚を当時の菅官房長官が左遷させたことである。

 

 菅内閣発足時の記者会見で、菅首相は「自分は秋田の農家の長男に生まれた」と「苦労人」であることを盛んにアピールしたが、苦労人=何事も正しい判断を下す人、とは言えないようだ。

 

 今回の出来事で会見時に話した「苦労人」話は単なる演出で、自分と異なる意見を持つ者はとことん「放逐する」というあの安倍政権のやり方と全く変わらない。

 

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     たとえ国民が選挙で選んだとしても、すべてを任せたわけではない

       (2020年10月2日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 ひょっとすると、菅首相は自分と異なる意見を持った者を完全に排除しなければ前へ進むことができない、そんな狭量な人なのかもしれない。

 

 そうであれば、そういう人がこの国の政治のトップに居るということほど国民にとって不幸なことはあるまい。