緊迫感が伝わってこない~菅首相の緊急事態宣言発令

 新型コロナ感染者の急増で菅首相は7日に東京都をはじめとした1都3県に緊急事態宣言を発令したが、メモに目を落として読み上げるだけの菅首相からはまったく緊迫感が伝わってこなかった。
 ときおりカメラ目線でちらりと顔を上げるが、すぐにメモに目線を落とす。

 

 この日は全国の新型コロナ感染者が7500余人と過去最多になったのに、いつもの感情のない表情でひたすら原稿に目を落とす菅首相から「要請」あるいは「働きかけ」をされてもどれほどの国民が納得するだろうか。

 

 そういう点では、三度目のロックダウンを報告する英国のジョンソン首相やドイツのメルケル首相に事態の深刻さをより感じ取ることができる。このことは程度の差はあれ他の欧州の首脳にも言える。

 

 どれだけ国民の心を動かすことができるか、それは施政者が国民一人一人にどれほど真剣に訴えることができるかにある。

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        菅首相のメッセージは国民に伝わったか?

          (2021年1月8日 MBSテレビ「ひるおび」より)

 

 国のトップが官僚の書いたメモをただ棒読みし、たまにちらりと目を上げたとしても、どれほどの熱意が国民に伝わるだろうか。

 真剣さを表そうとして、話のあちこちに極端な副詞や形容詞などをばらまいているときほど、その真剣さは怪しいものである。

 

 訴えたい相手に対して常に顔を向けて話すことが己の真剣さを知ってもらい、かつ相手の理解を得ることができるのである。

 

 ただ読み上げるだけなら国語の時間の小学生でもできる。いや、小学生の方がもっと感情が入っている。

 

 国民に「要請」や「働きかけ」をするのならば、間違えてはいけない数字や固有名詞は別として、話そうとする内容などは頭に叩き込み、自分の言葉で話して欲しいものである。