苦労人がどうしてこんな「陰湿」なことをするのか

 日本学術会議の新会員候補6人の任命を拒否した菅義偉首相に対して日本学術会議梶田隆章会長)は3日、任命拒否の説明と6人の任命の要望書を内閣府に提出したという。

 

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          日本学術会議内閣府に要望書を提出した

         (2020年10月4日 MBSテレビ「サンデーモーニング」より)

 

 確かに今回の新会員候補6人の任命拒否に関して、菅首相は「法に基づいた適切な対応」と言うが、納得できかねる。

 

 日本学術会議は1949年、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立された。

 

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         (2020年10月4日 MBSテレビ「サンデーモーニング」より)
 
 今回任命されなかった研究者は、政府にとって痛い所を指摘している意見の持ち主である。

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         (2020年10月4日 MBSテレビ「サンデーモーニング」より)

 

 たとえ政治に関して厳しい意見を持っていたとしても、それは国民として当然の権利でもあるし、純粋な学術研究を阻害するものでもない。

 むしろ国民として研究者が政治に全く無頓着であることほど無責任なことはない。

 

 過去の日本の不幸な歴史は、純粋な学術研究の成果を当時の政権が政治利用したことが原因となった。

 

 同じ愚を繰り返さないためにも、研究者が政治に関して一定の関心を持つことは自分の学術研究成果が陰湿な政治に利用されないかを見極めることにも繋がる。

 

 1983年の国会答弁で当時の中曽根首相は日本学術会議の会員任命について「それは形式的なもので、学会から推薦された者をそのまま任命する」と言っている。

 

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        (2020年10月5日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 それが安倍政権時代の2018年に、内閣府は「(学術)会議から推薦された人を必ず任命する義務はない」と勝手に法解釈して法制局に挙げている。

 

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     安倍政権時はこのような勝手な法解釈で裁量権を確保しようとした

       (2020年10月5日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 何度でも言う。

 

 首相には学術会員を選考したり、罷免する権限はない。
 首相による任命はできても裁量権はない。

 

 このようなことを含めて政治を行ったかつての安倍政権や今の菅政権に対して、立憲民主党小沢一郎衆院議員はツイッターでこう言っている。

 

 「安倍政権を一言で言うなら『幼稚』、菅政権なら『陰湿』」だと・・・。