3度目の緊急事態宣言、期間が短すぎる!

 政府は23日午後、東京、大阪、京都、兵庫の4都府県に緊急事態宣言を発令する。
 期間は4月25日から5月11日までのわずか2週間である。

 

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         わずか2週間!これで感染拡大の根を根絶できるのか

        (2021年4月23日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 なんと短い期間だろうか!
 ここは最短でもひと月の期間が必要なのではないか。

 

 政府高官は「出口を見やすく(いわゆる解除日がすぐだということ)することで国民の協力を得やすくなった」と言っているが、優先すべきはあくまでも新型コロナの収束ではないのか。

 

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           自治体は積極的だが、官邸は及び腰

        (2021年4月23日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 そこにこういう情報も伝わってきた。

 

 今回、緊急事態宣言が4月25日から5月11日までの短い期間になったのは、IOCのバッハ会長が5月16日に来日するから、ということもあるらしい。

 バッハ会長は今回の日本の緊急事態宣言について「緊急事態と五輪は無関係」と発言したそうだ。

 

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        (2021年4月23日 MBSテレビ「ひるおび」より)

 

 こういうことで日本における本来の新型コロナ感染対策がゆがめられるのはたまらない。

 

 今のところ、新型コロナウイルスの感染者数を把握することで感染が広まっているか縮小しているかを判断しているが、それでは緊急事態宣言を発出して1日の感染者数がどの程度まで少なくなり、その状態が何日続けば緊急事態宣言を解除するのか、その基準は政府から全く示されていない。

 

 地球上の生物は一定数を割ると種の存続が難しくなる。
 ウイルスや細菌も同じで、ある一定数以下で絶えてしまう。

 

 新型コロナウイルスは今のところ人間の体内で増殖するので、宿主である(?)人間が死亡すればウイルスにとっては元も子もない。
 そこでウイルスは人間を生かさぬよう殺さぬようすれすれの状態~いわゆる重篤状態~が長く維持できるような侵襲方法をとる。

 その間にウイルスは他の元気な人間に感染すべく機会を狙っているのだ。

 

 最近の変異ウイルスが怖いのは、従来よりも症状が強く、感染すると症状が重いことだ。

 変異ウイルスが若年者をターゲットにしているのも元気な若者を使ってウイルスを拡散させる。

 ウイルスは理由なく変異するのではない。

 まるで意思を持ったような変異の仕方をするのだ。

 

 ウイルスは生きた細胞の中(人間の体内)で大量の複製を作り、遺伝子のコピーを作るが、たまにミス(変異)が起きる。
 遺伝子のコピーミスなのだが、たまたまそれがウイルスにとって都合の良いもの(感染力が強い、感染した時の症状が強い、ワクチン接種の免疫を弱めるなど)であればその変異ウイルスは猛威をふるうことになる。

 

 これはあたかも新型コロナウイルスが能動的に己自身のRNAを変えて強い子孫を作っているようにみえる。

 

 さらにこの変異ウイルスは、今までのインフルエンザ・ウイルスなどとと違って気温が高くなっても依然と猛威をふるうようになってきている。

 

 このウイルスが今のところ人間の体内を介して増殖する方法をとる以上、新規の新型コロナの感染者数の増減を把握することが新型ウイルスの勢力を知る一つの指標となる。

 

 感染者数が学術的に定められた数以下になり、それが一定期間続けばウイルスは死滅の方向へ向かい、結果的に感染拡大を防ぎ、終息させることができると思われる。

 しかしこのような具体的な数字は政府から一切示されない。

 したがってまん延防止等重点措置もそうだが、緊急事態宣言発出も自治体からの要望が出たからと政府の気分次第で行われているように思われてならない。

 なんだか他人任せの感をぬぐい切れないのである。

 

 さて次にワクチン接種のことである。

 日本のワクチン接種の進み具合は先進国で最下位との報告がある。

 政府の言葉では順調にワクチン接種のスケジュールがこなされているように聞こえるが、実態が見えない。

  いったい今はどうなっているのであろうか。

 

 もしワクチン接種によって集団免疫効果が表れれば、それ以上感染者は増えなくなり、新型コロナは終息へと向かうはずである。

 

 いまのところ、新型コロナで集団免疫効果を期待するとすれば何割の国民が免疫を持てばよいのかわかっていないが、WHOでは人口の70%を超えれば集団免疫効果があるとの見方をしている。

 

 ワクチン接種の普及も先進国で最下位で厳しい感染予防対策も二の足を踏む日本政府は、今回のようなわずか2週間の短期間で緊急事態宣言の効果を見極めることができるのだろうか。

 

 今まで発出された緊急事態宣言は、最初こそはその言葉の重みを多くの国民は真剣に受け止めて自発的な自粛をしてきた。

 

 しかしその宣言下であるにもかかわらず、国会議員や地方議員などが、ひそかに多人数の飲み会を行っていたことが明らかになると、緊急事態宣言という言葉が持つ重みは急速に薄れてしまった。

 緊急事態宣言の言葉そのものに国民は慣れてしまい、その効果は薄れてしまったのである。

 

 おそらく今回の緊急事態宣言も「またか」という感覚で受け止め、緊張感が薄れている国民も多いのではないか。


 どんなに緊急事態宣言という言葉を使っても、それを国民に伝える政府が緊張感を持っていなければ伝わるはずがないし、それは「感染拡大防止にこれだけやっていますよ」という政府の単なるポーズに終わってしまうだろう。

 

 かれこれ一年以上もこの新型コロナウイルスに日本国内は翻弄されてきた。

 

 もし昨年2月初旬に政府が的確な新型コロナの防染対策を打っていたならば、もうこの辺で収束の傾向が見えてくるはずだった。

 

 現にシンガポール、タイ、オーストラリア、ベトナム。台湾の累計感染者数は7万人以下(4月21日午後11時現在)であり、イギリスやイスラエルは感染抑制の傾向がみられマスクの着用が緩和された。

 

 日本で新型コロナ、それも変異ウイルスによる感染拡大が止まらないのも政府の最初のボタンの掛け違いと、現政権がそれを踏襲していることもその大きな原因であろう。

 

 ロックダウンに近い厳しい統制は経済的損失が計り知れない、そして人権の問題も絡んできて日本では行使しずらいということを安倍前首相や菅首相は言うが、今は人権よりも命が大事である。

 

 もし人権を持ち出すならば、安倍政権時代に起きた森友学園の公文書改ざん疑惑で自殺した財務省職員の人権はどうなるのか。
 また、菅首相が何の理由も示さず任命拒否した日本学術会議6人の人権はどうなのか。

 

 的確な新型コロナ感染対策、そして全国民に対する迅速なワクチン接種の策を具体的に講じていれば、今頃の日本は収束の段階であったかもしれない。

 

 1年以上も続くコロナ禍で、日本の経済はとてつもない損失を被っているのである。
 それは今後も続くであろう。

 

 このようなだらだらと続く名目だけの緊急事態宣言では、今後も第4,第5の宣言を発出する羽目になることは間違いないだろう。