分科会は政府にとって自己正当化のための存在か?

 コロナ禍での五輪開催に懸念を示している尾身会長の一連の発言について、丸川五輪相は4日「スポーツの持つ力を信じて今までやってきた」と精神論を展開した。

 

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        尾身会長の提言に対し、丸川五輪相はこのように発言した

        (2021年6月7日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 しかし、丸川五輪相はスポーツの持つ力をどのようにして新型コロナの感染予防に役立てるのか、具体的な事には触れなかった。

 

 コロナ禍を精神論で終息させることが出来たらどれほど良いか。

 しかし相手は脅しも忖度も効かないウイルスである。
 このような相手に対して打つべきことは、理論に沿った感染予防という基本的な手法しかないと思う。

 

 今回の尾身会長の発言に対して菅首相は激怒したということを知り、ああこの人は官房長官時代に東京新聞の記者が不快な質問したことを根に持って、その記者に対して以後陰湿な対応をしたことを思い出した。

 

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         (2021年6月7日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 政府コロナ分科会は、いくら政府という名が頭に付いても政府に忖度したり、おべんちゃらを言う会ではない。
 あくまでも専門家の立場から政府に提言をする組織である。

 中には政策に接触するような提案もあるだろう。それを干渉しすぎると言ってしまえば分科会など必要ないのである。

 

 こういうことを知ってか知らずか、一連の尾身会長の発言に対して政府や自民党の一部から「度が過ぎる」「遅すぎる」という批判の声があるという。

 

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          (2021年6月7日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

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        自民党内でも尾身会長の発言を理解する人もいる

          (2021年6月7日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 昨年末から国民の6割近くが五輪開催に反対しているのに、政府や与党はそれを無視続けたことをどう思っているのか、尾身会長の発言を批判している自民党の幹部にお聞きしたい。

 

 自民党中堅議員の中には尾身会長の発言に理解を示し、官邸の危機管理能力に疑問を抱いていることも確かだ。

 

 このような政府の反応についてネットで次のような声があった。

 分科会は政府にとって正当化するための存在か、と

 

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    菅首相は「専門家の意見」を欲していながら、結局は無視どころか激怒

          (2021年6月7日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 
 政府のいろんな組織の中で、そこに属する者が少しでも方向の違う意見を言えば直ちに冷や飯を食わされ、最後には放逐される。

 

 すべてが己(おのれ)の思い通りにならないと激怒するトップの下で、正しい政治が行われるはずがない。

 

 オリンピックという本来ならば国民がこぞってその祭典を祝うべきことが、新型コロナの災禍に見舞われて政治のいろいろな恥部がこの時になって暴け出されてしまった。

 

 このことは今まで行われてきた政治の多くが、真実に基づかない政策で動かされてきたことを証明しているように思えてならない。