赤信号、消えれば多くの人が危険な道を渡ることだろう

 東京都の小池百合子知事が21日の都庁で、新型コロナの感染者の減少が鈍り気味の状況に「赤信号みんなで渡ればこわくない」というギャグを引き合いに出し、緊急事態宣言下の都民に緩んだ気持ちを引き締めることを呼び掛けた。

 

 そういう中で政府は今月(2月)末で大阪、京都、兵庫、愛知、岐阜、福岡の6府県の緊急事態宣言を先行解除することにした。

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        (2021年2月26日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 このことについて諮問委員会の尾身会長は「もろ手を挙げて無条件で賛成ではない」と語り、日本医師会の中川会長も「きわめて心配」と言い、大阪・京都・兵庫の各医師会も「第4波が気になる」「変異型関する懸念」「医療関係者は今でも緊張と疲弊の中でストレスを感じている」として「解除は慎重に」と言っている。

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         (2021年2月26日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より

 

 また諮問委員会の谷口医師は、東京都など3都県が3月7日に解除するならば「医療機関に余裕があること」「陽性者を確実に分離すること」を条件に挙げている。

 

 一方で航空・旅行アナリストの鳥海氏は「観光業界は危機的状況」と語っているが、早期の解除を希望している人たちがいることも確かである。

 

 新型コロナ禍にある現在の状況の中で「新型コロナの収束」と「経済の発展」どちらを優先すべきか、を今さら論じる場合ではなかろう。

 命あってこその経済である。

 

 新型コロナウイルス、相手はまだ素性の知れない未知のウイルスである。
 日本でもその変異型に感染した人も出てきている。

 

 感染者数が減少傾向にあるということだけを取り上げて、緊急事態宣言の解除を持ち出すのは拙速ではないか。

  感染者数の減少が下げ止まりの傾向という情報もある。

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      中途半端な解除はかえって経済の損失が大きくなるという

        (2021年2月26日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より

 

 大阪など6府県が2月末で緊急事態宣言を解除することによってこの先、より深刻な第4波が襲ってきたとき、また緊急事態宣言を発令するのか。

 

 昨年4月に最初の緊急事態宣言が発出されたが、その時と比べると今回の緊急事態宣言の効き目はかなり弱くなったという。


 いわゆる「慣れ」が国民の間に浸透し、人出はかえって多くなったという。
 これが小池都知事が言った「赤信号みんなで渡ればこわくない」の所以である。

 そういう中で飲食店関係の営業時間の短縮要請で、少なからず感染者の増加を抑えてきたと言えるだろう。

 

 今回は緊急事態宣言を解除しても飲食店などに対する営業時間短縮は営業時間を現行より1時間だけ延長して短縮要請はするという。

 

 そうであっても、今まで緊急事態宣言という赤信号が灯っていても危険な歩道を渡る人がいたのに、その赤信号が消えてしまったならば、これまで自制していた人々も抵抗なく危険な歩道を渡ってしまうだろう。

 

 国民へのお願いに頼らざるを得ない緊急事態宣言は、それを発令したり解除したりする頻度が多くなればなるほど、その重みは失われてしまうことだろう。