東京五輪、他の競技の開催地変更の可能性も!?

 東京五輪のマラソン競歩の開催地変更で、橋本オリンピック・パラリンピック担当相が18日の会見で、他の競技の開催地変更の可能性を示唆した。

 

 橋本五輪相は「調整委員会で(開催地変更の)意見が出てくると思う」と述べたが、東京のこの夏の猛暑を思えばそういうこともあり得ないことではない。

 

 来年の東京五輪の開催時期に、もし今年の夏と同じような猛暑が襲ってきたら、屋内で行われる競技はまだしも、自転車、セーリング、テニス、トライアスロンビーチバレーボール、サッカー、ゴルフなど炎天下で行われる競技はアスリートにとってこの上なく厳しいものになると予想される。

 

 前回(1964年)の東京オリンピックでは開催時期について、5月と7~8月そして10月の3つの会期案があったそうだ。

 当時の五輪組織委員会の報告書には「7~8月は『気温、湿度ともに極めて高く、選手にとって最も条件が悪い、最も不適当』」と記されている。

 

 それなのに2020年オリンピック開催誘致の立候補ファイルでは、「最も条件が悪い」「最も不適当」な東京の7~8月の気候を「この時期の天候は晴れる日が多く、かつ温暖であるためアスリートが最高の状態でパフォーマンスを発揮できる理想的な気候である」と偽っている。

 1964年の五輪組織委員会の報告書を読めば当時でさえ真夏の東京の気候は過酷であるという認識だった。それから55年後の今は地球温暖化の影響か、より一段と厳しい気象になっている。

 

 母国でオリンピックが開催されるということはあらゆることに対する国民のモチベーションを高めるのは確かであろう。

 

 しかし、浮かれてはならない。

 

 台風19号をはじめとした自然災害で苦しんでいる人たちが今でも大勢いるし、これからもどのような災害が待ち受けているかわからない。

 災害に遭った人たちにとって今は東京五輪どころではないのだ。

 

 マスコミや政治家などの東京五輪の対応をみると、何か東京五輪開催が国家の最優先のような感じを受ける。

  本当にそれでいいのだろうか。

 

 国民のモチベーションを高めてくれる祭典を全否定するのではないが、浮かれることなくもっと落ち着いて東京五輪を迎えることはできないものか。

 そうすれば、たとえ今回のように気象条件で開催地が変更になろうとも、あるいは競技種目が取りやめになろうとも結果を冷静に受け止めることができよう。

 

 東京五輪のためにすでに多くの費用を投じたとか、多くの人員を投じたとか、今となってはそれらは五輪誘致の初期の段階で大きな過ち(7~8月の気候は温暖という報告をした)を犯したという反省を得るための高額な授業料だったと思うしかあるまい。

 

 橋本オリンピック・パラリンピック担当相の言うように、もしマラソン競歩以外の他の競技の開催地が変更になったとしても、それは仕方のないことだろうと思う。

 

 今回の東京五輪の誘致の際に、開催時期がなぜ猛暑の7~8月なのか(たとえIOCの開催要件であろうとしても)、なぜ組織委員会はそれを受け入れたのかという強い疑問が今でも払しょくできないでいる。