「先手先手でさらなる対策を」だって?

 日本政府は新型コロナウイルスに関して、官邸で専門者会議を開いたが、その席で安倍首相は一般論に終始し、ついには「先手先手でさらなる対策を前例にとらわれることなく進めてまいります」と、今までの政府の対応は先手を打ったものだったと匂わせる発言をした。

 

 よくぞ言うよ、と思ったのは私だけではあるまい。

 

 飾った言葉ですべての物事が順調に進むのならこんな簡単なことはない。

 

 忖度して、おべんちゃらを言う身内では通るかもしれないが、今度の相手は忖度もしないし、おべんちゃらも言わない、そしてあらゆる権力も通じない得体のしれない新型ウイルスである。

 

 今までの新型コロナウイルス感染予防の水際対策に不備な点があったのであればまずそれを国民に謝罪し、それを是正した上で新たな正しい具体的な対応を国民に伝えるのが一国の首相のありかたであろう。

 

 日本でのパンデミックが現実となりそうなこの時に、官邸の会議室に専門家や閣僚、官僚たちを集めた中央に安倍首相が陣取って、まるで恒例の儀式のように、テレビカメラを意識しつつ、一般論に終始した自画自賛にも等しい言葉を語ったところで、どれほど感染者の拡大予防に役立つだろうか。

 

 そんな挨拶を長々と電波に乗せる各テレビ局もそうだが、それより今はパンデミックを防ぐために政府が本気になって、早急にどのような具体的対策に取り掛かるのか、それを国民に知らせるのがメディアの役目であろう。

 

 「不要不急の外出をするな」という政府の要望があるが、これは感染したら自己責任であるという無責任な言い方だ。

 

 働く多くの者にとって外出が不可能であることがわからないはずはあるまい。

 もしそれを徹底したいのであれば、交通機関を一斉にストップさせたらいいのだ。

 場合によっては1~2週間の日本全国一切休業という対策も必要になってくるかもしれない。


 
 新型コロナウイルスとの戦いを本気で取り組めば、日本経済は目も当てられぬほど落ち込むかもしれない。

 

 しかし、一時的な経済の落ち込みを恐れてはなるまい。

 

 新型コロナウイルスとの防戦で目の前から失っていく富を嘆くよりも、この日本という国を後世に繋いでいくことのほうが何よりも大事なのではないか。