緊急事態宣言の重みをわざと削ぐような安倍首相の発言
昨日(7日)安倍首相は7都道府県に対し緊急事態宣言を発令した。
(2020年4月7日 MBSテレビ 特別番組より)
その後の記者会見で安倍首相はその詳細を説明したが、その中で「これは欧米などのロックダウンとは違う。公共交通機関など必要な経済社会サービスは可能な限り維持する」としきりに口にしたが、これはやっと発令された緊急事態宣言の重みを削ぐことになりはしないか。
厳格な罰則もない、多くが自粛要請である今回の緊急事態宣言によって国民の危機意識が高まって、あたかもロックダウンに近い様相を呈したならば、それはそれで感染拡大防止の点からも好ましい姿ではないか。
安倍首相は緊急事態宣言発令後の午後7時に官邸で記者会見をしたが、その席で外国記者から「この緊急事態宣言が失敗に終わった時、責任はどう取るのか」と問われた安倍首相は・・・
外国記者に「責任をどうとるか」と問われて、安倍首相はこう答えた
(2020年4月8日 MBSテレビ「ひるおび」より)
緊急事態宣言でどのようなことが規制され、どのようなことが自粛という要請になるのか、それをハッキリさせるのはいい。
しかし、経済に及ぼす影響を抑えたいがために、緊急事態宣言が発令されても今まで出された自粛要請とあまり変わらないと思わせるような安倍首相の発言には疑問を持つ。
今回の日本の緊急事態宣言発令に対し、諸外国から次のような反応があった。
(2020年4月8日 MBSテレビ「ひるおび」より)
「日本の緊急事態宣言は、現実には見せかけだけ」と評したフランスのフィガロ紙。
ロイター通信は「日本では自粛要請を無視しても罰則がない。ロックダウンを実施している他の国の厳格さとは異なる」「非常事態宣言の対応は遅すぎる」と報道している。
そのほかには「(検査よりもクラスター対策を重視してきた)日本の戦略は困難さを増している」とAP通信は伝えている。
米ウォールストリートジャーナル紙は「厳しい措置を導入していない日本やシンガポールで感染が拡大している、と報じている。
「日本の緊急事態宣言は、都市閉鎖もなければ罰則もない」そして「強制力のない宣言の効果は限られるのではないか」と台湾のメディアは伝えている。
今回の緊急事態宣言が発令されれば、たとえ厳重な罰則がなくても国民の中で危機意識が高まるのではないか、と私は思っていた。
しかし、安倍首相が説明の中で緊急事態宣言の重みを削ぐような発言をしきりにするのを聴いて、フィガロ紙の「日本の緊急事態宣言は見せかけだけ」というのは真実を突いているかも、と思ったものだ。
緊急事態宣言発令にあたって、安倍首相は「地方に移動するなどの動きは控えていただきたい」と発言した。
二人の軽率な発言でネット上には”東京脱出”が拡散した
(2020年4月8日 MBSテレビ「ひるおび」より)
しかし、厳格な罰則もないその行動を口にすることは、逆にその行動を推し進めてしまう作用があるというリスクがあることを安倍首相や小池東京都知事は知らないのだろうか。
ネット上では"#東京脱出"が拡散している。
この言葉に触発され、東京を脱出する若者が続出しないだろうか。
現に、緊急事態宣言発令前の東京に住んでいる若者のこのような声がある。
(2020年4月8日 MBSテレビ「ひるおび」より)
行政の長が、その影響も考えずに軽薄な意識の下で日本で初めての「緊急事態宣言」を発令することに複雑なものを抱く。
そして森友・加計学園問題などで公文書の隠蔽や国会での虚言を繰り返してきた者が、罰則のない国民の自発的な行動自粛に頼らざるを得ない緊急事態宣言を発令しているのである。
このような情勢下、緊急事態宣言がようやく出されたことを受け入れることにはやぶさかではないが、今まで国会で隠蔽や虚言を繰り返してきた人物から日本で初めての「緊急事態宣言」発せられることに、なんだか割り切れない気持ちでいる。