1年後の自民党がどうなるか見てみよう

  自民党執行部は総裁選を通常の党員投票ではなく、両院議員総会方式を選択した。
 これによって地方の党員に人気がある石破氏が窮地に陥るのは明らかである。

 

 自民党幹部は、何が何でも石破氏を総裁にさせてはならないと画策し、狡猾な方法で石破氏が不利となる両院議員総会方式で総裁を選出することを決めた。

 

 その理由として自民党幹部は「党員投票を行うには1か月近くかかる」「政治空白を作ってはならない」「党員選挙をやる時間がない」という。


 自民党小林史明青年局長が調べてみたところ、党員投票は両院議員総会にプラス1週間で実施が可能だという党本部職員の言質を得ている。

 

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           党員投票はおよそ2週間で済むはず
           (2020年9月1日 MBSテレビ「ひるおび」より)

 

 また安倍首相は辞任会見で、コロナ第2波は峠を越して今後の対策も用意したと言っており、安倍首相が完全に執務ができない状態ではない。さらに菅官房長官加藤勝信厚労相西村康稔経済再生担当相らが控えているではないか。

 

 このようなことを考えると、今回の総裁選出を両院議員総会に決めた執行部の意図は「石破つぶし」にあると言っていいのではないか。
 執行部はなんという狡猾な方法を用いたことか。

 

 このような状況下、総裁選で勝利することはほぼ間違いないだろうと言われている菅官房長官の出馬表明の記者会見が2日午後5時から行われた。

 

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             菅官房長官は安倍路線!?

           (2020年9月2日 MBSテレビ「ミント」より)

 

 そこで菅官房長官は「安倍総理の政策を継承する」と明言、そして「アベノミクスは責任をもって引き継ぐ」、安倍政権の疑惑である「『森友』『加計』『桜』の再検証は行わない」と述べた。

 

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          森友、加計、桜は再検証しないという

           (2020年9月2日 MBSテレビ「ミント」より)

 

 このことから、もし菅政権が誕生したら体質は安倍政権とほとんど変わらないのではないのか。むしろ安倍氏が総裁の座を降りても議員として留る以上、ひょっとして「院政」を敷くのではないかという恐れを私は抱いたのである。
 相手は菅氏という最も組みやすいかつての官房長官である。

 

 折も折、9月1日付けの読売新聞夕刊に「院政」についての記事が載っていた。

 

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             (2020年9月1日 読売新聞夕刊)

 

 それによると、「院政」には従来説と最新説があって、最新説には「院政」の利点が挙げられているという。
 記事の論調は、「院政」を敷くのは決して悪いことではないと言っているようであった。考えすぎか。

 

 それはともかく、総裁選出を多くの自民党員が要望した党員投票を無視して自民党執行部が強引に両院議員総会方式に決めたことが、これからの自民党にどのような望ましくない影響を与えるか、目先のことばかりに集中して、そういう先々の想像力を党の幹部は今や欠いてしまっているような気がする。