一体「マンボウ」って何だ?

 「マンボウ」、最初この言葉がテレビから流れてきた時、頭の中に浮かんだのはあの魚のマンボウである。

 そして次に浮かんだのは、あるメーカのイメージキャラクター「ヤン坊マー坊」だった。

 

 テレビ画面を見ると「まん止等重点措置」という文字が映し出されている。

 だから「マンボウ」!
 ふざけるな!と叫びたかった。

 何でも略すればいいもんじゃない!

 

 4月1日、政府は新型コロナ感染拡大が著しい大阪府兵庫県宮城県に「まん延防止等重点措置」を来週5日から来月5日までの1ヶ月間適用することを決定したが、政府は東京都など4都県の「緊急事態宣言」をつい先月21日に解除したばかりである。

 

「緊急事態宣言」と「まん延防止等重点措置」という中身の違いがあるというものの、幟(のぼり)を上げたり下げたり、政府も忙しいものである。

 

 新型コロナとその変異ウイルスによる感染拡大は先月の「緊急事態宣言」解除の前に十分予想されたことであったにもかかわらず、政府は宣言を解除してしまった。

 

 「緊急事態宣言」そのものの効き目が薄れてきてしまったということもあるが、それは一部の者(多人数で飲食をした国会議員や幼児のように羽目を外した若者)だけであって、多くの国民はこの宣言で自粛のモチベーションを持ち続けることができたのである。

 

 政府の明確な理由もなく「緊急事態宣言」が突然解除されてしまったら、多くの人たちは自粛のない以前の生活に戻っていいのだな、と考えてしまうのは当然であろう。
 感染者数が下げ止まりという状況下でありながら、さらに変異ウイルスの感染者が増えつつあるのに宣言を解除すればどうなるか。

 

 政府は想像力、先を見通す能力が完全に欠如していると言わざるを得ないだろう。

 もし宣言解除が他の政治的要素によるものであるとすれば、何おか言わんやである。

 

 政府が来週5日に適用するとしている「まん延防止等重点措置」は「緊急事態宣言」よりも規制が弱いという。

 

 それは「まん止等重点措置」が一部のメディアや関係者によって「まん防(マンボウ」という略号で呼称されていることにも起因するだろう。

 

 西村経済再生相は「まん防(マンボウ)」という言葉にはふざけた感じもあって使わないようにしていると言う。


 また小池東京都知事は4月1日に「東京都ではマンボウという言葉は使わない」と言ったが、小池知事は3月18日の臨時会見ではわざわざ「マンボウ」と発言していたのである。

 

 気仙沼の道の駅のトレードマークはかわいい魚として「マンボウ」の名が付けられている。

 

 そこで道の駅の関係者は、「まん延防止等重点措置」が「まん防」と呼称されることに道の駅にマイナスイメージが植えつけられる恐れがあるとして危惧している、という。

 

 5日から適用される「まん延防止等重点措置」が、いかにも軽薄な響きのある「まん防」という言葉がメディアなどによって略称されるとしたなら、その効果もその程度のものかと思ってしまう。