コロナ禍にある東京五輪の強硬開催は日本の将来に禍根を残すかもしれない

 新型コロナの感染拡大が止まらない。
 変異株も加わってその感染力は強まったともいわれる。

 

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         (2021年5月5日 BS-TBS「報道1930」より

 

 このような状況の下で日本政府は緊急事態宣言の延長を決めたものの、一部の対策は緩和したものになるという矛盾したものを発表した。

 一方では新型コロナの収束もおぼつかない中で東京五輪開催を強行しようとしている。

 

 菅首相は先週金曜日、「厳格な対策をすることで東京五輪の開催は可能だ」と言った。
 またIOCのコーツ副会長も「大会は開催される」と発言している。

 

 コーツ副会長は先月14日、次のようなことを述べた。
「大会中止の検討はまったくしていない。このことは組織委員会や日本政府、東京都、JOCも知っている」と。


 おそらくコーツ副会長のこの発言が日本政府や東京都、組織委員会などに対する圧力となっているのだろう。

 先月24日、菅首相はコーツ副会長の発言を受けた影響なのか「大会開催の権限はIOCが持っている」と言っている。

 

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         (2021年5月5日 BS-TBS「報道1930」より

 

 また大会開催中やその後に日本で新型コロナ感染が拡大したら誰が責任を取るのかの質問に、コーツ副会長は「日本政府や東京都の責任になる」と発言している。

 

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         (2021年5月5日 BS-TBS「報道1930」より

 

 大会開催の権限はIOCにあるが、開催によって日本の新型コロナの感染が拡大したら、その責任は日本政府や東京都にあるとあらためて言ったわけだ。

 

 こんなことをしている間に、東京五輪の開催日までとうとう80日を切ってしまった。

 

 この間の日本政府や東京都、組織委員会の対応は東京五輪強行開催に縛られて、にっちもさっちもいかなくなったように思える。

 

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        菅首相も了解済みだとする今夏の東京五輪の開催

       (2021年5月10日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 パンデミック状況下で東京五輪を強行開催したならば、それに伴って日本の医療現場から医師や看護師などの人的資源、そしてPCR検査やワクチンなどの医療関係の物的資源がその大会に大きく割かれ、日本国内の一般人に対する感染予防や治療が手薄になってしまうことは十分考えられる。

 

 この影響は五輪開催期間中だけではなく、むしろ開催数カ月後の10~12月になって現れることだろう。

 

 次々と現れる変異株も合わさって、いまだにその正体がはっきりとわからない新型コロナウイルスが日本だけでなく、全世界で収束を確認できない限り、あるいはワクチン接種などによって新型コロナ感染拡大をコントロールできるような状態にならない限り、オリンピックのような世界的祭典は慎むべきではないかと思う。

 

 今のような状況下で、今夏の東京五輪を強行開催することは日本の将来にとてつもない禍根を残すことになるかもしれない、と強く感じるのである。