自民党はやっぱり古い体質から抜け出せなかった!
自民党総裁選は自民党所属の国会議員と党員・党友による投票結果を経て、河野太郎氏と岸田氏の決選投票となり、岸田氏が自民党新総裁に選ばれた。
何か釈然としない気持ちである。
それは事前の予想とあまりにもかけ離れた1回目の投票結果、それも国会議員票の数字に起因する。
国民の声を代表するのが国会議員であるならば、全国の自民党党員・党友の声と同党国会議員の声は同じような傾向であろうと思うのだが、今回の1回目の選挙結果の内訳をみると河野氏は党員・党友票を169票(全党員・党友票の44%)を獲得したが、岸田氏は110票(同29%)にとどまっている。
ところが国会議員票では岸田氏が146票(全議員の38%)を獲得しトップになったが、河野氏は86票(同23%)である。
自民党総裁選 1回目で各氏が獲得した票数
河野氏 岸田氏 高市氏 野田氏
党員・党友票 1 69 110 74 29
(100%) (44%)(29%) (19%)(8%)
国会議員票 86 146 114 34
(100%) (23%)(38%) (30%)(9%)
決選投票
河野氏 岸田氏
都道府県票 39 8
(100%) (83%) (17%)
国会議員票 131 249
(100%) (34%) (66%)
私が疑問に思うのは、党員・党友票あるいは都道府県票と国会議員票でなぜまるっきり逆転する数字が出てくるのか、ということだ。
それに決選投票では党員・党友が投票できる数は激減し、都道府県単位で総裁を選出することになっているのもおかしな話だ。
そういうことをするのならば、国会議員票も同じ割合で減らすべきだろう。たとえば議員の出身地単位で投票権をもたせるとか、だ。
決選投票は都道府県単位で行う、ここに自民党上層部の狡猾な戦略が見え隠れする。
なぜなら国会議員ならば上層部の意向を受けやすいからだ。
思えば2012年の自民党総裁選で決選投票となった際に1回目で1位だった石破氏が、決選投票で逆転されて安倍氏に敗れてしまったことがあったが、党員・党友による結果が決選投票ではいとも簡単に覆されてしまうこの自民党総裁選の選挙システムに大きな疑問を持つのである。
今回の自民党総裁選挙は投票直前になって小石河連合に対するA・A勢力の逆襲が並大抵でなかったという。
河野氏を応援した石破茂元幹事長は1日、地元・鳥取県庁で会見を開くという。
河野氏の敗北を受けて「衆院選に出馬しないのではないか」「派閥を解散するのではないか」という噂も一部流れている。
国民の理解が得られないようなこと(例えば森友・加計問題や桜を見る会など)について上層部に異議を唱える者が、数の力でもって政界から放逐されるようなことがあれば「真の民主」とはいえない。たとえ「自由民主党」と党名に「民主」を掲げていたとしても・・・。
いずれにしろ、内定した党四役の顔ぶれと岸田氏と戦った河野氏が広報本部長に実質格下げされるという党人事をみれば、安倍政権時にまん延した自民党の古い体質は払拭どころか、逆にそれを温存する方向へと進んでいることを憂うのである。