アベノマスク、この愚策の責任は一体誰がとるのか?

 岸田文雄首相は21日の記者会見で、現在も8000万枚もの「アベノマスク」の保管に約6億円かかっていることに批判が集中していることに対して、今月24日から希望する自治体や個人へのアベノマスク配布の受付を始め、残りは今年度中に廃棄することを決定したという。
 
 昨年春、安倍晋三元首相が得意げに発表したアベノマスク配布は手間取り、それが国民の手に届くころは市中のマスク不足は解消して、何のためのアベノマスク配布だったのか疑問に思ったことである。

 

 さらにそのアベノマスク(3億1811万枚)も汚れや髪の毛付着で検品作業などが加わって、その調達費用は結局約490億円もかかったという。

 

 そのアベノマスクは我が家にも届いたが、いつかどこかの自治体か施設に寄付しようと思って今まで使っていなかった。

 

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       どこかに寄付しようと思っていたが行先が無くなって・・・


 ところが不要なアベノマスクを回収するとして回収箱を置いていた役場や施設から、いつの間にか回収箱が無くなっていた。
 あまりにも使い勝手の悪いアベノマスクに自治体や施設が回収をあきらめたのである。

 

 先日、自宅の箪笥にしまい込んでいたそのアベノマスクを改めて眺めてみた。

 それを市販の一般的な不織布マスクと比べてみた。

 

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            上が市販のマスク、下がアベノマスク

 

 市販の一般的な不織布マスクは横が約17cm、そのままでは縦が約9.5cmだが、折りたたんだ部分を広げると約17cmあった。

 ところがアベノマスクは横が約13cm、縦は約9.5cmと市販の不織布マスクと同じだが、折りたたんだ部分がないのでこれ以上広がらないのである。

 

 つまり大人がこのアベノマスクを付けると口を完全に覆えば鼻が出てしまうのである。それならばと鼻を完全に覆えば下唇付近の顎が出てしまう。

 

 アベノマスクは市販の不織布マスクのように折りたたんだ部分がないので、縦9.5

cmの間に口と鼻を覆わなければならないが、幼児ならともかく、大人では非常に難しい。

 

 布製のマスクは不織布マスクと比べて飛沫防止で劣るという研究結果もある。そのことを補うためか布製のアベノマスクは2つ折りの布を5枚(!)も重ねて作られている。
 このためかアベノマスクを装着すると、1枚織りの不織布マスクと比べて多少息苦しい感じがする。

 

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         アベノマスクは 2つ折りの布が5枚重なっている

 

 用途によって形や大きさにいろいろなマスクがあることは知っている。

 しかし新型コロナウイルス飛沫感染を予防するのであれば、最適なマスクはどのような材質でどのような織り方が良いかは歴然としている。

 

 大人が使うには問題のある大きさとその材質、織り方のアベノマスクに今まで多くの保管料がかかった。
 そしてまたそれを廃棄するのにも6000万円もかかるという。

 

 廃棄すれば過去の愚策が清算されるものではない。

 多くの血税を費やした愚策の責任を取る者が誰もいないという無責任施策に、ただただあきれるばかりである。

今年の漢字は「金」、そのもう一つの見方

 2021年の「今年の漢字」に「金」が選ばれた。

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           (2021年12月13日 MBSテレビ「ゴゴスマ」より)

 12月13日、京都・清水寺森清範貫主が揮毫する最初の腕の動きを見た時、即座にこれは「金」ではなかろうかと思ったのも確かである。

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           (2021年12月13日 MBSテレビ「ゴゴスマ」より)

 なぜなら、今年は東京オリンピックで日本は過去最多の金メダルを獲得し、またエンゼルス大谷翔平選手の大活躍を思えば「金」という漢字が選ばれても当然だろう。

 しかし、私には別の意味をもって貫主が揮毫する様子を観ていた。

 

 1995年から始まった「今年の漢字」で「金」が選ばれたのは今回で4回目だという。
 この間、同じ漢字が選ばれたのはほかに「災」で2回である。残りの漢字はまだ一度しか選ばれていない。

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           (2021年12月13日 MBSテレビ「ゴゴスマ」より)

 こういうことを思えば、4回も選ばれた「金」に何かしら因縁めいたものを感じる。
 それとも余程日本人は「金」が好きな国民性だろうか。

 そういえば最近、国会議員や企業のトップに「金」に絡んだ不祥事をよく見聞する。

 

 「金」を読むとき、「きん」と言えば気品が感じられるが、「かね」と発言すればいやらしさが感じられる

 今年の漢字に「金」が選ばれたのは、東京五輪の日本選手や大谷選手の大活躍を考慮した結果、と表向きには言われているが私には別の皮肉が込められているような気がしてならない。

 

 それは「金(かね)」のためにコロナ禍にあるにもかかわらず強引に東京五輪を開催したIOCの幹部や日本政府、組織委員会を揶揄して「金」という漢字が選ばれたのかもしれない、ということである。

 

 IOC会長を称して「ぼったくり男爵」と言う言葉も今年の流行語として候補にあげられたが、今年の漢字に「金」を選んだことによって強引な東京五輪開催に不満を持った多くの人の溜飲を少しは下げることができたのかもしれない。

 2021年にはこういう理不尽なことがあったことを忘れるなよ、という意味で・・・。

 もちろんこの場合の「金」の読み方は「かね」であることは当然である。

 

 2021年ももう残りわずかである。

 

 私は前に、東京五輪開催の評価は早くて今年末、あるいは来年夏まで待つべきである、と記した。

 

 今現在、オミクロン株の感染拡大が懸念されている。


 このようなことも踏まえれば東京五輪で多くの金メダルを獲得し、今年の漢字でも「金」が取り上げられたとしても拙速な東京五輪開催の評価は避けるべきであろう。

衆院選、低い投票率では民意を正しく反映したものとは言えない

 第49回衆院選は多くの人の予想を覆す結果を残して全議席が確定した。

 

 今朝(11月2日)の朝刊には今回の衆院選小選挙区投票率が55.93%だったと載っており、それは戦後3番目の低いものだったという。
 実に有権者数の4割強が棄権したことになる。
 
 ちなみに世界「議員選挙投票率」ランキングによれば日本の投票率は100位にも入っていない。

                順位   国 名     議員選挙率
                1位    ベトナム     99.26%
                3位    シンガポール   95.81%
                   8位    オーストラリア  91.89%
                  18位    スウェーデン   87.18%
                  24位    デンマーク    84.60%
                            32位    ニュージーランド 82.24%
                    33位    オランダ     81.93%
                            52位    ドイツ      76.15%
                            58位      台湾       74.86%
                            59位    タイ       74.69%
                            60位     フィリピン     74.31%
                            66位    イタリア     72.93%
                            74位    スペイン     71.76%
                            87位    カナダ         67.65%
                            89位    イギリス     67.55%
                            92位    インド      67.40%
                            97位    韓国          66.21%
                         139位    日本       53.68%

                                出所:民主主義・選挙支援国際研究所
(The International Institute for Democracy and Electoral Assistance)

 

 この衆院選の結果を得て、与党はさらに強引な国会運営を進めていくだろう、との危惧を抱く。

 

 多くの識者やマスコミの事前の予想を覆して今回の衆院選がこのような結果になったのはなぜか?

 

 識者やマスコミは、主たる原因を立憲民主党共産党が共闘を組んだことを指摘している。
 
 今回の衆院選立憲民主党(以下、立民)が共産党と共闘を組んだことに一部の連合の人たちの反感を買ったことは確かであろう。
 そして共闘する段階でそれに反感を持つ人たちへの説明が不十分だったこともあるだろう。

 しかし、だからと言って「野党共闘」を「悪」と決めつけることは極端だろう。

 

 ただ、この衆院選が公示されて共闘した野党の幹部の演説の中で「政権交代」という言葉が唐突に出てきたことに私は大きな違和感を持ったことは否めない。

 

 今の野党に政権を担う実力には多少疑問があるのに、いきなり「政権交代」とは今の時点ではいささか度が外れたものではないのか。
 この言葉はそのような状況が整うその時まで使うべきではなかったと思う。

 新型コロナ感染者増加がようやく治まりかけた時に、いきなり「政権交代」という言葉を軽々しく使ったことに反発を抱いた有権者もいるだろう。

 

 あの東京五輪開催中の新型コロナ感染者数が爆発的増加したことがウソのように今は新型コロナの感染者数が減少し、さらに飲食店への営業規制が緩和されてきたが、新型コロナの第5波の猛威を経験した人たちのモヤモヤはいまだ晴れない状態である。

 

 今までの政府の後手後手のコロナ対策に業を煮やした有権者がその怒りを衆院選でぶつけようと思っていた矢先、「政権交代」という言葉を耳にしたとたん、「今はそれどころではない。コロナ禍によって営業不振に陥いったり、職を失って生活困窮になっているのを国はどうにかしてほしい」と思ったことであろう

 

 今回の衆院選は「与党が勝った」「野党が負けた」「維新が議席を増やした」という単純なものではなく、低い投票率でも政権担当が決まってしまうという、国民の民意を正しく反映できない摩訶不思議な日本の政治を露呈しているようにも思えるのである。

伯仲国会になってこそ、はじめて国民のための真の政策が生まれよう

 31日の衆議院総選挙の投票まで1週間を切った。

 

 数をもって傲慢な政策をゴリ押しする与党。
 それに対し今一つ迫力に欠ける野党。
 そしてその間で大臣席が欲しいのかふらふらする「ゆ」党。


 (注:野党=や、与党=よ、「や」と「よ」の間にあるのは、や行の「やゆよ」で「ゆ」党)

 

 アメリカやイギリスのように二大政党制であれば国会における法案などの審議も緊迫した雰囲気になって十分吟味されたものが成立しようが、今のように自民党など与党が衆議院議席の大半を占める状態では与党のやりたい放題である。


(注:アメリカは厳密な意味で二大政党制とは言えないが、民主党共和党で一方の政党が政権をとれば他方は野党的な行動をとるから広義の意味で二大政党制。またイギリスは第三党として自由民主党があるが政権担当能力がないから保守党と労働党の二大政党とみなす。)

 

 国会審議では緊迫した状況でこそ、国民の意向を反映した法案や政策が生まれるものである。

 そのためには、国会における与野党議席数は折半に近いものがふさわしい。

 

 共同通信トレンド調査によれば、今回の衆院選で与党と野党の国会での議席が伯仲する、いわゆる与野党伯仲国会になることが望ましいという意見が45%あったそうだ。

 過去3回(2012、14、17年)の衆院選で多くの議席数を獲得した自民党政権運営がどのようなものだったかを思えば、国民の多くが伯仲国会が望ましいと考えるのは当然だろう。

 

 米紙ワシントンポスト岸田文雄氏が自民党総裁に決まった時「安倍氏のレガシーが次期首相の岸田氏にのしかかっている」という分析記事を掲載した(https://www.washingtonpost.com/world/2021/09/30/shinzo-abe-fumio-kishida/)。

 

 さらにワシントンポスト紙は「現在の日本は一党独裁国家に危険なほど近づいている」と指摘し、「岸田政権において安倍氏の影による支配が続く限り、日本は変わらない」としている。

 

 2012年から8年間続いた第2次安倍政権は第1次安倍政権を通算して在任日数は憲政史上最長となった。

 その間に日本はどのように変わったか。

 

 貧富の差はますます広がった。


 それはコロナ禍が日本を襲ったことによってより顕著になった。
 このことは今まで国民の間ではあまり話題にならなかったが、生活困窮が原因で自殺をする者が相次いだことによって顕在化した。

 

 安倍政権下でアベノミクスなどの政策により、大企業や富裕層はその恩恵に浴したが、貧困者はコロナ禍によってさらに明日の命をもおびやかされる毎日が続いた。そして極度の生活困窮に陥って命を絶つ者が後を絶たないというような情報をよく耳にする。

 

 日本でこのようなことが起きるとは2,30年前は考えられなかったことである。

 今でも日本は世界の中でも有数の富国だと思っている人がいるようだが、現実は違う。

 

 最近、テレビで東南アジアや南米などいわゆる先進国ではない国の様子を伝える場面で、その国の物価が意外と高く感じたことはないだろうか。

 

 海外旅行が自由化になった1960年代中ごろから日本の農協団体などの海外旅行ブームが起き、旅行先の東南アジアなどでは物価が非常に安かったことを覚えている人もいるだろう。

 その当時と比べて日本と東南アジア諸国とでは現在はそれが逆転しているのである。
 最近の日本の物価は諸外国と比べて安いといわれる

 ある情報によれば日本のビッグマックの価格はアメリカの6割程度しかないという。
 そこでアメリカ人は日本の物価は安いと感じ、逆に日本人はアメリカは物価が高い国だと感じる。
 これは上記の最近の東南アジアの物価が高いと感じられたことと同じである。

 

 これらのことは一体何を意味するのか?

 

 それは生活レベルが日本と東南アジア諸国とでは今や逆転している、あるいは逆転しつつあるということを示すのである。
 端的に言えば、日本はそれらの国と比べて貧しくなってきている、ということである。

 

             日本は貧国になりつつある

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       (2021年10月25日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 先ほどのビッグマックの日本での値段がアメリカの6割であるということは、日本人の賃金がアメリカ人の6割しかないことと同じである、と先の情報は述べている。

 この著者はこれを「ビッグマック指数」と称していて、それによれば各国の賃金は
           アメリカ     5位
           韓国      19位
           サウジアラビア 26位
           パキスタン   29位
           日本      31位
           中国      33位 
 驚くなかれ、日本は中国よりも若干高いが韓国よりは低いのである。

 

 最近の日本の労働者賃金が世界各国と比べて安い、ということは良く言われる。

 

           日本の労働者の賃金は韓国よりも低い!

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       (2021年10月25日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 どうしてこのようなことになったのか?
 
 アベノミクスによって一部の大企業や富裕層はその恩恵を受けただろう。
 しかし多くの国民にとってアベノミクスは何らの好影響も与えなかったし、賃金の安い非正規労働者を多く生み出すことにもなった。


 大企業は労働者の賃金を上げるよりもその分を内部留保の方に回した。その結果、多くの非正規労働者は安い賃金でギリギリの生活しかできなくなり、今回の新型コロナ禍によって多くの生活困窮者を生み出した。

 

           あの内部留保金はどこへ行った

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       (2021年10月25日 ABCテレビ「羽鳥モーニングショー」より)

 

 コロナ禍によって企業の経営が苦しくなり、そのしわ寄せが非正規労働者にきて賃金を減らされたり解雇させられたりしたが、それをやる前に経営者はそれまで蓄えてきた巨額の内部留保金を役立てることはできなかったのか。

 

 今から2,30年ほど前、日本は裕福な国、平和な国と思っていたころは「生活が困窮で今日食べるものがない」というような状況は考えもしなかった。
 今ではそのようなことをしばしば耳にする。

 

 国民のすべてが納得するような完璧な政治を行うことは難しいだろう。
 しかし、コロナ禍による生活困窮者の生活レベルを上げることができるような政策を積極的に実施することは、今のような状況下では施政者が積極的に行わなければならない最優先事項ではないか。

 

 富める大企業や富裕層は放っておいていい。
 健康な者にわざわざ治療を施すことはないのである。


 しかし、倒産の危機におびやかされている中小企業や、日々の生活に困窮している国民にこそ国は手を差し伸べるべきである。

 

 政府は新型コロナの感染者数が減少してきたことを踏まえて「GoToトラベル」を再開しようとしているが、その様なことに使われる税金こそ、新型コロナ禍による生活困窮者の救済に回すべきであろう。

 これがパンデミックに見舞われた国の本当の政治なのではないか。

 

 ワシントンポスト紙が言うような一党独裁国家に日本がならないためにも、今度の衆議院議員選挙の結果として、与野党が伯仲した国会を実現し、国民のためのもっと緊迫した国会審議が行なわれることを強く望むのである。

自民党はやっぱり古い体質から抜け出せなかった!

 自民党総裁選は自民党所属の国会議員と党員・党友による投票結果を経て、河野太郎氏と岸田氏の決選投票となり、岸田氏が自民党新総裁に選ばれた。


 何か釈然としない気持ちである。

 

 それは事前の予想とあまりにもかけ離れた1回目の投票結果、それも国会議員票の数字に起因する。

 

 国民の声を代表するのが国会議員であるならば、全国の自民党党員・党友の声と同党国会議員の声は同じような傾向であろうと思うのだが、今回の1回目の選挙結果の内訳をみると河野氏は党員・党友票を169票(全党員・党友票の44%)を獲得したが、岸田氏は110票(同29%)にとどまっている。

 

 ところが国会議員票では岸田氏が146票(全議員の38%)を獲得しトップになったが、河野氏は86票(同23%)である。

 

                    自民党総裁選 1回目で各氏が獲得した票数

                                   河野氏   岸田氏   高市氏   野田氏
      党員・党友票    1 69    110   74          29
        (100%)         (44%)(29%) (19%)(8%)
       国会議員票        86   146    114   34
           (100%)           (23%)(38%) (30%)(9%)

 

                                                              決選投票

                                                河野氏    岸田氏  
                       都道府県票       39             8 
                          (100%)                      (83%) (17%)
                        国会議員票        131    249
                           (100%)          (34%) (66%


 私が疑問に思うのは、党員・党友票あるいは都道府県票と国会議員票でなぜまるっきり逆転する数字が出てくるのか、ということだ。

 それに決選投票では党員・党友が投票できる数は激減し、都道府県単位で総裁を選出することになっているのもおかしな話だ。

 

 そういうことをするのならば、国会議員票も同じ割合で減らすべきだろう。たとえば議員の出身地単位で投票権をもたせるとか、だ。

  決選投票は都道府県単位で行う、ここに自民党上層部の狡猾な戦略が見え隠れする。

  なぜなら国会議員ならば上層部の意向を受けやすいからだ。

 

 思えば2012年の自民党総裁選で決選投票となった際に1回目で1位だった石破氏が、決選投票で逆転されて安倍氏に敗れてしまったことがあったが、党員・党友による結果が決選投票ではいとも簡単に覆されてしまうこの自民党総裁選の選挙システムに大きな疑問を持つのである。

 

 今回の自民党総裁選挙は投票直前になって小石河連合に対するA・A勢力の逆襲が並大抵でなかったという。

 

 河野氏を応援した石破茂元幹事長は1日、地元・鳥取県庁で会見を開くという。
 河野氏の敗北を受けて「衆院選に出馬しないのではないか」「派閥を解散するのではないか」という噂も一部流れている。

 

 国民の理解が得られないようなこと(例えば森友・加計問題や桜を見る会など)について上層部に異議を唱える者が、数の力でもって政界から放逐されるようなことがあれば「真の民主」とはいえない。たとえ「自由民主党」と党名に「民主」を掲げていたとしても・・・。

 

 いずれにしろ、内定した党四役の顔ぶれと岸田氏と戦った河野氏が広報本部長に実質格下げされるという党人事をみれば、安倍政権時にまん延した自民党の古い体質は払拭どころか、逆にそれを温存する方向へと進んでいることを憂うのである。

 誰を新総裁に推したか、それが総選挙結果に影響するだろう

 20日のABCテレビ「羽鳥モーニングショー」では自民党新総裁は誰が良いかについて、この18,19日に実施された各社の世論調査結果を報じていた。

 

          岸田文雄  高市早苗  河野太郎  野田聖子
   ANN     18%    10%       48%     7%
     (RDD方式 全国18歳以上の男女1911人 有効回答1060人)

      毎日新聞        14%       25%     50%       3%
     (18日実施、自民党支持層の回答)

      読売新聞        22%       20%        41%        6%
     (党員党友の回答)

 

 読売新聞は面白いことに、これとは別に自民党所属の国会議員の結果も同日朝刊の第一面で報じており、それによるとトップは岸田氏となっている。

                   岸田文雄    高市早苗      河野太郎     野田聖子
           読売新聞        25%     19%      22%         4%
          (自民党所属国会議員の回答)

 

 総裁選挙は決選投票にもつれ込み、そうなれば岸田氏が有利になりますよ、という自民党国会議員に対する一種の誘導報道のようなものであろう。

 

 他の社も新総裁が1回目の投票だけで済むことは予想しておらず、おそらく決戦投票になるだろうという読みであった。

 

 自民党総裁が総理大臣となる可能性が高い現状において、党員党友投票であればともかく、国民の意思が反映しにくい議員投票にはいささかの疑問を持っている。

 

 安倍・菅政権と続いた旧来の政治とその手法は、国民の実感を伴わない経済発展をデータ上で吹聴するばかりで、かえって貧富の格差を広げたばかりか、新型コロナ感染拡大では政府の危機管理が脆弱であることを露呈した。

 

 国民に嘘をつかない政治。

   これが今一番国民が望む政治である。

 

 今回の総裁選の結果いかんでは、きたる総選挙に大きな影響を及ぼすであろうことは間違いないだろう。

火中の栗を拾うのは誰?

  自民党総裁選は土壇場になって出馬表明した野田聖子幹事長代行によって、河野氏陣営のそれまでの目算に狂いが生じたと報じられている。

 おそらくこれは党員投票で人気のある河野氏に多くの票が流れることを阻止するためであろうことは間違いない。


 もし野田氏の出馬で票が分裂して決選投票になれば、議員票に強いといわれる安倍・麻生陣営は従来の路線を継承する岸田氏が選出される筋書き通りの展開を描いていることだろう。

 そういう目的のために担ぎ出された野田氏はどのような心境なのだろうか。


 そのような意味では票を分散させる目的で安倍氏が支持している前総務大臣高市早苗の出馬の役割もほぼ同じであろう。

 

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               初秋の奥入瀬

 

 前回のブログで私は、自民党新総裁は「火中の栗を拾う政治家」を望んでいると記した。

 これを投稿した時点では「自分の利益を顧みず他人のために危険を冒す政治家」と言う意味で使ったのだったが、大事な事を失念していた。

 

 それは、ラ・フォンテーヌの寓話にあるこのことわざを調べればわかることだが、本当は「サルにおだてられた猫がイロリの中の栗を拾って大やけどした」というのが起源である。

 それが今では「他人のために危険を冒すたとえ」として多く使われる。

 

 自民党新総裁選に岸田・河野・高市・野田氏が立候補を表明したが、このことに絡んで上記のラ・フォンテーヌの寓話が何度も頭に浮かんでくる。

 

 そして思う。


 はたして自民党新総裁選で周囲におだてられて立候補した人はいなかったのかな?、大やけどはしないだろうな、と。