新国立競技場の観客席はなぜまだら模様?

 新しい国立競技場の完成を祝うオープニングイベントが先週の12月21日に華々しく催された。

 

 テレビでは何度もその模様が放映され、ここを主会場とする2020年東京五輪への期待感が高まってきた人もいるだろう。

 

 ところですでにご存じの方もいようが、この新しい国立競技場の観客席は、白、黄緑、グレー、深緑、濃茶が入り交じっている。     

 

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        たくさんの観客で埋まっているように見える新国立競技場の観客席

 この5色のカラーは「アースカラー」といって森の木漏れ日をイメージしたものだという。なぜこのような5色のカラーを客席に用いたのだろうか。

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             でも実際は5色の「アースカラー」の観客席

 「自然と調和するスタンド」と謳っているがこれは表向きで、実際は「空席を目立たないようにする」ためである。

 確かにこの観客席を遠くから見ると、人々で埋まっているように見える。

 

 このように観客席をまだら模様にして空席を目立たないようにする工夫はヨーロッパではよくあることだという。

 

 こういう手法は一概に批判されるものではないだろう。
 なぜならスポーツの場ならば選手や関係者のモチベーションを高めるのに少しは役立つだろうと思われるからである。

 

 しかし、残念ながらこれは政治の世界でもよく使われる手法でもある。

 

 一見すると立派な中身で埋め尽くされていると思われた政策が、実際に施行されてみると所期の目的を達していないどころか、長期間その実態の検証さえもされていなくて放置されたままのものが多くみられる。

 

 安倍政権下で実施されたそのような政策を挙げればきりがない。

 

 また、政府が20日に閣議決定した来年度の予算案についてもバラマキの要素が疑われるような政策がいくつも含まれている。


 
 このバラマキ政策が上に掲げた「まだら模様の観客席」にあたる。

 遠くから見たら立派だったが、近くで見ると杜撰だということだ。

 

 今までの政策の中にも、施行してみたらその恩恵に浴することができるのは大企業だとか、特定の資産家であったり、少数の限られた団体だったりということが多々あった。

 

 安倍政権においては、その政策の多くが特定の組織や団体に有利な恣意的なものもあったし、政策の中にもいい加減な検討・議論でお茶を濁し、華々しく発表したものもある。

 

 安倍政権は、政策のアドバルーンをいくつも挙げて国民を鼓舞したいのだろうが、これまでの政策で多くの国民がその恩恵にあずかったという一般国民の声はほとんど聞こえない。

 

 政策の「まだら模様」ばかりに目を向けていると、いつの間にか無観客のフィールドで一人演技をし続けている羽目になっているかもしれない。

 

 私たち国民も、東京五輪に舞い上がるようなことだけは避けねばならない。