安倍首相の顔色をうかがいながら答弁する閣僚・官僚

 久しぶりに国会中継(2月4日)を視聴した。

 

 あいかわらず、答弁内容や議長の審議の進め方について野党が議長席に詰め寄って何度か審議がストップした。

 

 野党の質問に、安倍首相や閣僚、官僚がまともに答弁しないのは相変わらずである。

 

 この日の衆院予算委員会では、野党の前原誠司議員が質問に立ち、安倍首相が1月20日に行った施政方針演説の中で島根県の地方創生の成功例を挙げたが、そのことに関連して質問した。

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        (衆議院TVインターネット審議中継より)

 その際、答弁に立った安倍首相の「景気の良い時は地方から東京へ転入する人が多いが、景気が悪い時は地方へ転出する」という答弁はおかしいだろう。

 

 この答弁は安倍首相の勘違いで言ったものか。
 そうではないだろう。

  

 現在は東京へ転入する人が多いということを現在の景気は良いということと結ぶつけるために、安倍首相はつい口にしてしまった、という感じがする。

 

 今日の質疑答弁で印象に残ったのは、前原議員が安倍首相の答弁について「地方創生の政策において自分で決めておきながら、難しいからと言うのなら総理を辞めてください」とかなりきつく発言したことである。

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        (衆議院TVインターネット審議中継より)

 この発言で議場は一瞬凍り付いたような感じだった。

 特に議場に居並ぶ閣僚、官僚の顔がこわばっているように見えた。

 

 閣僚や官僚は安倍首相の顔色をうかがうような答弁をし、一部の野党は安倍首相におべんちゃらを言い、腰が引けたような質問しかしない。

 

 おそらく安倍首相のありとあらゆる方法を使って行うかもしれない闇の報復が怖いのだろう。

 

 そのような中で前原議員の発言は、おかしな答弁をすれば誰であろうと一切妥協はしないという感じがしたのである。

 

 安倍首相の報復など意に介しない、という姿勢で質問に立つことは見ていて心地よい。

 

 最近の国会を一言で表すと、日本の国会審議はまるで歌舞伎(political kabuki)のようだと私は前に記した。

 

 口のうまいペテン師のような歌舞伎役者が、くるりと観客に背を向けたとき「観客なんて甘いものだ」とペロリと舌を出す。

 

 そんな歌舞伎を思い出すような今の国会答弁で、おかしな政策については本気で政権に怒りをぶつけて質問する議員がいることに救われるのである。