予算委員会で「高齢者は歩かない」という驚くべき自民議員のヤジ
3月2日の参院予算委員会では、2月27日の安倍首相の記者会見で一斉休校を要請した理由などについて野党から質問が飛んだ。
(2020年3月2日 参院予算委員会インターネット審議中継より)
たびたび質疑が中断し、予定時間より大幅に遅れて再開された予算委員会で、立憲民主党の蓮舫氏が「29日の記者会見で記者の質問に対して安倍首相は原稿を見ながら読み上げているようだったが、記者の質問内容を事前に知っていたのか」と質問したのに対し、安倍首相は「事前に(質問内容を記者と)検討することはある」と答えた。
ご飯論法にのっとって答弁
(2020年3月2日 参院予算委員会インターネット審議中継より)
なるほど、記者会見もいわゆる「やらせ」のようなことをやるんだな、と思ったのは私だけではあるまい。
また蓮舫氏は「ジャーナリストの江川紹子氏が質問しようとしたとき、会見を打ち切ったのはなぜか」と質問したことに安倍首相はその後の予定が迫っていたと多忙を理由にしていたが、その答弁に蓮舫氏が「すぐ自宅に帰っている」と指摘した。
鋭い質問は再び安倍首相の不規則発言を誘うか
(2020年3月2日 参院予算委員会インターネット審議中継より)
確か、9日の安倍首相の記者会見は午後6時より始まり、終わったのは6時35分ごろであった。そしてその後、多忙であるはずの安倍首相が私邸に帰ったのは午後7時12分であることが読売新聞の「安倍首相の一日」という記事で確認できる。
(2020年3月1日 読売新聞朝刊より)
このような多忙のために平気で会見を打ち切る安倍首相。
さらに蓮舫氏の前に質問した野党から「日本の学校で新型コロナウイルスに感染した症例は今まで何人か?」との質問に対して加藤厚労大臣はかなり時間が経った後で「4件」だと答えた。
WHOでも「子供は感染しにくい」と報告している。
それではなぜ感染しやすい高齢者の対策は置き去りにして小中高の一斉休校なのか。
この後、蓮舫氏が質問していたときに「高齢者は歩かない」と自民党議員から驚くようなヤジが飛んだ。
高齢者は歩かないから、あるいは歩けないから感染しない、という意味で言ったのだろう。
ヤジといえど、国会でこれほど高齢者を馬鹿にした言葉はないだろう。
こういうことわざがある。
子供笑うな、来た道だ
老人笑うな、行く道だ
このようなヤジを平然と飛ばす自民党議員が子供か、老人か、あるいはどちらでもないか、それは知らない。
しかし、どちらにしてもその者もこれから老人という道を行かざるをえないのは確かだ。
この予算委員会で、たびたび審議が中断したのは10回では済まない。
それは安倍首相や閣僚のチグハグな答弁が原因であった。
安倍首相の顔色を背中で感じつつ、答弁する厚労相
(2020年3月2日 参院予算委員会インターネット審議中継より)
このような内閣でよく政権を維持しているものだ、と驚いてしまう。
これは安倍政権の資質もあるが、だらしない野党にも責任がある。
こんな時期に政権を任されるのはかなわない、安倍政権の尻ぬぐいはごめんだ、という姿勢が各野党に見られる。
正直に言えば、現在の野党に政権担当能力は無い、と思う。
しかしまた安倍政権でこの危機を完全に乗り越えるのは非常に難しいのではないか。
こういう状態で一番危機にさらされるのは国民である。
与野党問わず、今の政権の悪い流れを断ち切り、国民目線で考えることができる、まともな者が早急に政権を担うことができなければ、日本はこの危機を乗り越えられないかもしれない。
危機を乗り越えるとは、新型コロナウイルス感染拡大を阻止することだけではない。
その後の日本が世界から孤立してしまう可能性があることを考えなければならない。
その一つを挙げれば、それはクルーズ船内や国内の対応について、ちぐはぐな対応策しか打ち出せずにいる日本政府に対して世界の評価が大きく変わりつつあるからだ。
例えば東京オリンピックに関して言えば、IOCの元副会長リチャード・バウンド氏は「観客が集まるのが危険と判断されれば(無観客も)検討される可能性がある」と語り、バッハ会長も「無観客の可能性がある」と言った。
開催国としてふさわしい感染拡大阻止の的確な対応を日本政府は行っているか、今各国がそのことを注視していることを忘れてはならない。
そうでなければ安心して自国の選手を日本に送ることはできない、と考えるだろう。
今日の予算委員会はちょうど午後5時半に終わった、と言うより強制的に終えたようだ。
相変わらず国会の質疑応答を何度聞いても、安倍首相や閣僚の「ご飯論法」のオンパレードだ。
「高齢者は歩かない」と言うヤジを聴いたから、この老体にカツを入れるためそこらを散歩して体を動かしてこようと思う。