こんなの「先手」と言えるか!、追い詰められた安倍政権の暴挙
28日付のNYタイムズによれば「安倍政権が打ち出した小中高校の一斉休校は、これまでの慎重姿勢からの急変」だと報じている。
そしてそれは「東京五輪・パラリンピック中止の懸念が浮上したための政治的計算だった」とも報じた。
さらに「7月の五輪開催を控え、科学的な観点よりも政治的な計算が上回ったとするアナリストらの見方を紹介」している。
また感染症専門化の意見も取り上げて「子どもはコロナウイルスに感染しにくく、休校は医学的に正当化されない」と記事にある。
やるのだったらせめて2週間早くするべきだった
(2020年2月29日 ABCテレビ「おはよう朝日土曜日です」より)
このことから考えられることは、27日に安倍首相が小中高の一斉休校の要請に至った大きな理由は、政権を維持するための「政治的」だったことは間違いなかろう。
またこのことによって、政府が感染拡大防止に先手先手で取り組んでいる姿をアピールしたかったのかもしれない。
感染拡大防止に「一斉休校」という方針は間違っていないのかもしれない。
しかし、問題はその手順と時期を間違えていることだ。
台湾の日本人学校では新型コロナウイルス対策で2月5日から24日まで学校を閉鎖した。
この時、なぜ日本は学校閉鎖をしないのか、と疑問に思う人もいたという。
日本でも今回のような小中高一斉休校をこの時期に実施していれば、たとえ全国一斉試験と重なったとしても小中高校に及ぼす混乱は今ほどでもなかったのではないか。
これこそ「先手」の対応であろう。
一斉休校に伴う諸問題の対応も整えない中での唐突な休校要請は、現場に混乱を招くばかりである。
さらにコロナウイルスは子どもには罹りにくく、一斉休校は医学的に正当化されないとする専門家の意見もあるのを安倍政権はどのように判断したのだろうか。
25日に政府が新型コロナウイルスの感染症対策の基本方針を発表したが、少なくとも一斉休校を要請するのならこの時に行うべきだった。
なぜなら休校開始が同じ3月2日であったとしても現場にとっては4日半の時間的余裕が生まれるからである。
2月末から3月といえば入試や学期末試験に始まり卒業式が行われ、入学式という学校にとって大きな行事が控えている時期だ。
それらの準備に追われている現場にとって、この時期は1分1秒も無駄にできないのだ。
それらを知ってか知らずか、突然安倍政権はわが権限とばかり一斉休校を要請する暴挙にでた。
要請だから法的拘束力はないとはいえ、政権に忖度する自治体も、あるいはその逆も出てこよう。
ここで私は危惧することがある。
それは、もし要請と大きく異なる方針を決めた自治体は、その後の官邸からの陰湿な報復を覚悟しなけばならないかもしれない。
そうなったとしたら、これはもう民主国家と言えないだろう。
今まで安倍政権下で政権の方針に逆らった自治体や個人がどうなったか、調べてみるといい。
いや、こういうことを書くとさらに安倍政権の思うつぼにはまるのかもしれない。
なぜならこのような陰湿な報復はそれを行う側から言えば表立ってはいけないが、だからといって完全に隠してしまっても困るのだ。
それとなく相手側(報復の対象)に報復するぞというメッセージが伝わること、それが肝要だからだ。
もしこの記事でそのような状況になったとしたら、その時はご勘弁願いたい。
いずれにしても与党にすら事前の説明もなく、また現場に対する根回しもなく行われた唐突な一斉休校要請は、時期を逸した安倍政権の後手の見本だといえよう。