なんとも中途半端な緊急事態宣言であることよ

 この7日に発令された政府の緊急事態宣言によってかなりのインパクトを国民に与え、それによって自発的な外出自粛が見られるかと思っていたが、実際はそうでもないようである。

 

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            緊急事態宣言後でもほれこの通り

       (2020年4月10日 ABC テレビ 「羽鳥モーニングショー」より)

 

 これは安倍首相が説明時に、この緊急事態宣言はロックダウンとは違うとか、電車も動く、店も開くなどと、国民を束縛するものではないと盛んに釈明したのも原因の一つにあげられよう。

 

 外出自粛効果が見られなかったもう一つの大きな原因は、緊急事態宣言に休業要請と補償がセットになっていなかったからである。

 

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    政府は2段階論を考えているというが、そんな悠長なことでいいのか

       (2020年4月10日 ABC テレビ 「羽鳥モーニングショー」より)

 

 資金繰りにあえぐ中小企業が何らの補償もなしに休業することは、わざわざ自分の首を絞めることになるという声もある。

 

 ある店の経営者が言っていた。
「店を閉めて死ぬか、コロナによって死ぬか」。


 緊急事態宣言後に調査した通勤者も思ったほど減少していないという。

 主要駅における利用客減数は緊急事態宣言前に比べておよそ3割であった。
 たとえ外出自粛の要請だとしてもあまりに少ない。

                   東 京

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                  大 阪

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       (2020年4月10日 ABC テレビ 「羽鳥モーニングショー」より)

 

 この原因は、会社勤務する人たちの行動は「不要不急でない」と政府が表明したことによるものだろう。

 

 国民には外出自粛を要請しておきながら、会社勤めの者が感染の恐れがあるすし詰め状態の満員電車で通勤することを、政府は外出自粛の対象外にしている。

 

 なぜ通勤電車に乗ることを自粛要請しないのかを政府に問うと、満員電車であってもそこは「3蜜」いわゆる「密閉」「密集」「密接」のうち、乗客同士が間近で会話や発声をする「密接」ではないからだと言う。
 それでは電車の手すりやドアに触ることを戒めているのはなぜだ。

 

 もうあきれてものも言えない。
 それでも言う。

 

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       罰則のない外出自粛だけで、こんなことできるわけがない

       (2020年4月10日 ABC テレビ 「羽鳥モーニングショー」より)

 

 安倍首相は「緊急事態を1か月で脱出するには人との接触を8割減らすことが前提」と言ったが、厳しい罰則もない緊急事態宣言の下では、二階幹事長ではないが「そんなことできるわけがない」。

 

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       2020年4月10日 ABC テレビ 「羽鳥モーニングショー」より)

 

 西村コロナ担当大臣は、もし8割減の効果がなければ2週間以内に強い措置をとるという。
 ここでも2週間も待つということに懸念の声があがる。

 

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        感染病対策の肝要は間を置かずに実施すること

       (2020年4月9日 BS TBS テレビ 「報道 1930」より)

 

 どんなに緊急事態宣言を発令しても中途半端な効果では意味がない。

 今回の政府の緊急事態宣言に休業要請と補償がセットになっていないことにも原因があろう。

 

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    休業要請に伴う補償を避けたいがためにこんなことを考えている

       (2020年4月10日 ABC テレビ 「羽鳥モーニングショー」より)

 

 東京都が休業要請の対象を決めるにあたり、政府との調整が先送りになったのはその対象選定もさることながら、休業補償をどこが行うかということも課題であったという。

 

 他の自治体と比べて資力的に優位な東京都でさえ国の補助を必要としていたのである。

 

 新型コレラが猛威を振るっているこのようなときでさえ、政府は対応を政治と微妙に絡めて自治体を篭絡しようとしている。

 

 このような状況下で経済活動が鈍化していくのはやむを得ない。
 それよりも新型コロナ禍を一刻も早く終息させることである。

 

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        新型コロナの対応で海外メディアはこう見ている

           (2020年4月8日 MBSテレビ「ひるおび」より)

 

 命さえあれば、再生することは可能だ。

 終戦後の荒廃から伸びあがってきた日本だ。できないことはあるまい。

 

 今まで国民からしっかり集めた税金は、このようなときに惜しみなく、大胆に、そして有効に使うべきではないのか。

 

 ちまちまとした小手先の対応ではこの新型コロナウイルスに勝てるはずもない。

 

 このままでは日本国民はおろか、日本という国が滅びてしまうのは、本当に冗談でなくなるかもしれない。

 

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       (2020年4月10日 ABC テレビ 「羽鳥モーニングショー」より)

 

 新型コロナウイルスの感染拡大を収束させるために、たとえ今の日本経済のレベルを下げることになったとしても、その覚悟を受け入れたくないのは今や政府だけのような気がする。