長期政権の弊害をなぜ取り上げないのだ!

 ここ数日のテレビや新聞は、安倍首相の連続在職日数がこれまでの歴代最長の佐藤栄作氏を抜いて24日には記録を塗り替えたことを報じている。

 

 それまで日本の首相が短期間でころころ変わるということは国際舞台では必ずしも歓迎されなかったが、一方長期政権には大きな弊害があるということも忘れてはならない。

 

 長期政権で凝り固まった組織の中で自由な発言が阻害され、官僚などの政権に対する忖度も激しくなる。

 

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 アメリカでは大統領の在職期間は連続して2期8年と定め、憲法で三選は禁止されている。これは同じ人物が長期間国を統治することへの弊害を考慮してのことだ。

 

 一方世界の指導者のそれをみれば、ドイツのメルケル首相の在任期間は14年を超え、主要7カ国の中で安倍首相がそれに続く。
 英国のサッチャー氏は首相を11年務めたが、キャメロン前首相は6年だ。
 フランス大統領の任期は最短で6年である。

 

 こうして世界の指導者の任期をみても安倍首相の長期任期は決して驚くような数字ではない。


 当然ながら、社会体制の異なるロシアや中国の指導者の任期を併せて取り上げて比較しようとは思わない。

 

 国によって長期政権による弊害の程度は異なってくるだろう。

 そして日本という国ではその弊害が極端に生じるように思える。

 

 長期政権による弊害(組織の硬化、権力者への忖度、自由な政策論議の衰退など)が、安倍官邸だけにとどまらず、行政や民間会社組織の隅々まで及んでいる現状をみれば、昨今の祝賀的に色づけされたメディアの長期政権の報道には違和感を覚えるのである。

 

 7年8カ月もの安倍政権の下で、どのような外交・内政問題が解決あるいは進展したか、この間のいわゆる安倍政権のレガシー(政治的遺産)は何だったのか、テレビ・新聞はその方面にもスポットを当ててほしいものだ。