違法ではないが「第三者の調査」とは言い難い～舛添知事の記者会見
6月6日午後4時、政治資金の私的流用疑惑について東京都の舛添知事が弁護士とともに記者会見に臨んだ。
その記者会見を視聴した。
今回の件を調査したという弁護士は元検事の佐々木善三氏と森本哲也氏である。
佐々木善三氏はトヨタ自動車の元常務役員の禁止薬物密輸事件や、小渕優子議員の証拠隠滅（証拠のPCのハードディスクをドリルで破壊して証拠を隠滅したという疑い）事件で第三者委員会で辣腕をふるった弁護士である。いわゆる権力側についてこそその有能さが発揮される人である。
それぞれの疑惑について佐々木氏は違法性があるかどうかを調査したようだが頻繁に口にしたのは「違法性はないが不適切」という言葉であった。
弁護士だから法律をものさしにするのは止むをえまい。
そしてそのものさしで物事を判断するのは正しい。
だが私たちが知りたいのは、日本の首都のトップとして道義的にどうなのかということだ。
しかしこういうことを弁護士に求めても仕方がないのかもしれない。
そういう意味ではこの日の弁護士を同席させての会見は無駄な、形式以外のなにものでもない。
小さな国にも匹敵する年間予算を扱う東京都のトップには、より高潔で品格のある人物が要求されるのは当然のことである。
もしこういうことに外れるような振る舞いがあったなら、トップはその座を空け渡すのが日本の文化ではなかったのか。
恥を恥じる。
居座り続けるということほど恥ずかしいことはない。
記者会見はほぼ予想した通りのものであって、なんら目新しいことはなかった。
それどころか、こんな会見を何度も見れば見るほど東京都民ではない私にも怒りが沸いてくるのには困った。
この日の佐々木弁護士について、特に印象に残ったことがある。
記者からの「（舛添氏以外の）当事者に会ってそれらを確認したのか？」という質問に、佐々木弁護士は妙に苛立って「どういう意味があるのか」と答え、弁護士らしからぬ態度を示したのが印象的だった。
つまり舛添氏以外の当事者には確認をしていない、ということである。関係者に確認したというがそれが誰であるか、佐々木弁護士は明らかにしなかった。
この記者会見の茶番は、真実を知っている者（舛添氏）が語ればよいことを、わざわざ弁護士を雇って厳密な調査の真似事をし、弁護士とともに会見に臨んでいることである。
