変化よりも安定を選んだ参院選

 メディアによれば今回の参院選自民党の圧勝(?)に終わって、テレビ画面には笑みを浮かべる安倍総理の姿が頻繁に流れている。
 
 ここで「自民党の圧勝(?)」と疑問符を付けたのは、選挙結果を分析してみるとわかるように、必ずしも野党大敗北、総崩れという痕跡はみられないからである。
 
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 とはいえこういう結果になるのだったら衆参同日選挙をやるんだった、と安倍総理はちょっぴり後悔もあるんではなかろうか。
 
 今回の参院選はあることをきっかけに日本国民の心の中に生じた「変化よりも安定を望んだ」結果だといえるのではないか。
  
 そのあることとは、英国が「EU離脱」を選択したことである。
 
 国民投票の直前にさかんに宣伝されたキャンペーン「EU離脱後のバラ色の未来」に英国民の多くが「EU離脱」という選択をした。
 
 そのEU離脱が現実となったとたん今度はEUを離脱することで生じる現実的な多くの問題を、離脱を選択した英国民ははじめて知ることになった。
 
 「たかが自分の一票ぐらい」と安易に変化を求めた結果が、かえって辛く苦しい将来をわざわざ選択することになったのだ。

 英国がEU離脱を選択したことで日本でも円高、株価の暴落を招いた。

 企業や一部の投資家は警戒心を強めた。
  
 このことを日本国民は今回の参院選の投票の際に少しも思い浮かべなかったとはいえまい。
 
 そしてまた、今回の参院選で投票した人の中に「EU離脱派のキャンペーン」と「日本の野党の公約」を重ね合わせていた者がいても不思議ではない。

 そこで選択したのが「変化よりも安定」。
 
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 野党を選択すると変化が、与党を選択すると安定が、という思い込みがいまや国民の中に浸透している。
 
 安定は安定でもガソリンのように高値安定、株価のように安値安定があるにはあるが・・・。
 
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 細かな点では不満もあるが、英国のように選択を間違えて世の中が悪化するよりも現状容認が賢明だということである。
 
 もし英国の国民投票の結果が「残留」であったならば、今回の参院選の結果はもう少し違ったものになったかもしれない。

 あるメディアが伝えていたが、保守系議員の中には「(予想に反して)これほど圧勝すると次回の選挙が怖い」と。
  
 それは選挙のたびに勢力が一変する「振り子現象」である。
 
 確かに私たちはその時々の世論の風によって、国会の勢力が振り子のように揺れ動くさまを今までも見てきた。
 
 今回の参院選のように絵に書いたような大勝をすれば、次の選挙が心配になるのは当然の心理であろう。
 
 今回の圧勝も必ずしも安定したものでは無いことを保守陣営の幹部が一番よく知っている。

 振り子現象が起きるのは必ずしも国政選挙だけとは限らぬ。
 
 ひょっとすると東京都知事選でそれが起きるかもしれない。

 次回はそれについて述べてみる。